2013 Fiscal Year Research-status Report
主回路をユニット化した超多レベルフライングキャパシタマルチレベルインバータの開発
Project/Area Number |
25420244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 之彦 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50205978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電力変換器 / マルチレベル / 高パワー密度 / 高調波低減 / 集積化 |
Research Abstract |
当初の研究計画に基づいて、超多レベルのフライングキャパシタマルチレベルインバータを実現することを目的として、複数個の主回路ユニットを組み合わせて実装する方式の開発に向けた研究を実施した。具体的な研究成果は、以下のとおりである。 ■ 5レベルのフライングキャパシタマルチレベルインバータによるユニットを、研究室で保有している基板加工機を用いてガラスエポキシ基板を使用して作成した。このユニットを6個試作し、組み合わせを変更することで、9レベル三相、13レベル単相フルブリッジ、17レベル単相ハーフブリッジとしての動作試験を実施し、正常な動作が行えることを確認した。その結果、13レベル単相フルブリッジでの試験において、出力800W程度の小容量でありながら、効率99.0%を実現した。さらに、ヒートシンクを用いない自冷による動作が可能であることを実証し、基板上の温度分布を赤外線カメラで確認することにより正常な温度範囲での動作が実現できていることを確認した。以上より、本研究で開発した主回路をユニット化する実装方法がインバータの高パワー密度化の実現に寄与し得ることを示した。 ■ マルチレベルインバータユニットの実装上の課題として、MOSFETとキャパシタの所要耐圧と組み合わせるユニット数との関係の理論的検討、ユニットを組み合わせる際にコネクタを使用することにより増加する寄生インダクタンスに対する対策法を検討し、実験によりその有効性を確認した。 ■ マルチレベルインバータの波形改善効果の評価指標として、高調波の理論解析法を検討した。この結果を踏まえ、マルチレベル化による代表的なメリットとして、誘導電動機を可変速駆動する際の損失低減効果、出力波形改善のために接続するフィルタの小型化について、理論的及び実験的に検討を行った。さらに、インバータのマルチレベル化によるシステムの制御性能の改善効果についても基礎的な検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった超多レベルのフライングキャパシタインバータのユニット化による実装方法の開発に関して、理論的、実験的検討を踏まえ、5レベル変換器ユニットを6個試作した。これを組み合わせて、各種のインバータとして動作させた試験を行い、所期の動作が実現できていることを確認するとともに、効率99.0%を実現し、ヒートシンクを用いることなく動作が可能であることを実証し、インバータの高効率化、高パワー密度化に大きく寄与できることを示すことができた。以上の成果から、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果を踏まえ、アルミ基板によるフライングキャパシタインバータのユニットを18枚製作し、各種組み合わせで試験を行う。あわせて、アルミ基板による熱マネージメントの改善効果について実験的に確認する。最終的に、出力フィルタなしで系統連系が可能と期待される25レベルの三相インバータとして動作させ、各種の基礎データを取得する。現在の進行状況から判断して、これらの実験結果の大半の取得は、平成26年度中に完了する見込みであり、その後は成果を論文に取りまとめる作業に重点を移す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基板試作費および部品購入費が予定を下回ったため、残額が生じた。 次年度に試作する基板の製作費および部品の購入費に充てる。
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