2013 Fiscal Year Research-status Report
イオン衝撃二次電子銃による大面積電子ビームの発生と滅菌への応用
Project/Area Number |
25420245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 正人 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20251663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 栄喜 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70114890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子ビーム / 二次電子銃 / 滅菌 / プラズマ応用 |
Research Abstract |
本研究は,プラズマの応用研究の一環として,パルス電子ビームによる滅菌技術の確立のため,滅菌処理に最適なイオン衝撃二次電子銃を中心とする滅菌システムを構築することを研究目的としている。 平成25年度は,イオン衝撃二次電子銃(ビームエネルギー:最大120keV,ビーム電流:最大20A,パルス幅:1us,繰り返し周波数:最大1kHz)を構築し,電子ビームのエネルギー分布を光化学線量計で計測した。特に,陰極電圧,繰返し周波数をパラメータとして,イオン衝撃二次電子銃で発生させた電子ビームの特性を調べた。陰極板近傍での絶縁破壊のため,所期の目的値まで陰極電圧を上昇させることができなかったが,比較的安定した電圧値で繰り返し周波数を変更し,ビームエネルギー,エネルギー分布を計測した。 次に,大腸菌および芽胞形成菌に対して電子ビームを照射し,滅菌の様子を調べた。本年度は,高繰り返し照射の影響に主眼を置いたため,真空容器内での滅菌を行った。結果として,電子ビームエネルギー30eV,繰り返し周波数50Hzの時,初期菌数1000000CFUの大腸菌は30秒間の照射で滅菌することができた。また,芽胞形成菌を用いた滅菌実験では,電子ビームエネルギーを変化させ照射したが,いずれの場合も十分に菌を死滅させることができなかった。次年度に,電子ビームエネルギーおよび繰り返し周波数を増加させて,再度滅菌実験を試みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はイオン衝撃二次電子銃の構築と簡易な滅菌実験の実施を目指して研究に取り組んだ。 イオン衝撃二次電子銃については,陰極板周辺の絶縁破壊のため,繰り返し周波数およびイオンビームエネルギーに制限があり,今後改良が必要である。滅菌実験については,実験環境,実験手順の整備が完了したので,2年目以降,系統的な滅菌実験が実施できる状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,まずイオン衝撃二次電子銃の改良として,陰極板設置部の真空状態を改善するために,真空排気系を再構築する。これにより,陰極板の印加電圧および電子ビームの繰り返し周波数の改善が期待できる。滅菌実験については,以下の項目を実施する。 (1) イオン衝撃二次電子銃で生成した電子ビームを,滅菌室内に設置したバイオロジカルインジケータに照射し,滅菌の程度を詳細に計測する。 (2) 電子ビーム出力や照射回数と滅菌状況の関係を系統的に調べる。 (3) 滅菌用微生物を用意し,電子ビーム照射による微生物の形状変化を電子顕微鏡により詳細に観測する。 これより,滅菌プロセスの最適化を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部実験器具の購入価格が予定より低かったため,小額の残金が生じた。 平成25年度分残金分は26年度と併せて消耗品購入費に充当する。
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