2014 Fiscal Year Research-status Report
イオン衝撃二次電子銃による大面積電子ビームの発生と滅菌への応用
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25420245
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 正人 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20251663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 栄喜 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70114890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子ビーム / 二次電子銃 / 滅菌 / プラズマ応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,プラズマの応用研究の一環として,パルス電子ビームによる滅菌技術の確立のため,滅菌処理に最適なイオン衝撃二次電子銃を中心とする滅菌システムを構築することを研究目的としている。 平成26年度は,前年度に構築したイオン衝撃二次電子銃の特性計測の一環として,一照射あたりの電子ビームエネルギーと吸収線量の計測を行った。結果として,陰極板印加電圧が-80 kV,-90 kVおよび-100 kVのとき,電子ビームエネルギーはそれぞれ11.9 mJ, 50.4 mJおよび77.1 mJであった。これより,電子エネルギーの透過率は最大でも30.8%となり,より高エネルギーの電子ビームの生成には,電子透過窓材の再検討が必要である。また,吸収線量の絶対値を計測できるシステムを構築し,各照射条件における電子ビームの吸収線量を計測した。滅菌対象設置位置での吸収線量のピーク値は,陰極板印加電圧が-80 kV,-90 kVおよび-100 kVのとき,それぞれ約18.3 Gy,183 Gyおよび280 Gyであった。 次に,放射線滅菌の指標菌であり,芽胞形成菌であるBacilus pumilusを使用し,滅菌実験を行った。異なる照射強度に対するD値を求めたところ,陰極板印加電圧が-80 kVの時は約3.0 kGy,-90 kVおよび-100 kVのときは約2.3 kGyとなった。 これより,滅菌が完了するのに必要な吸収線量は,陰極板印加電圧が-90 kVおよび-100 kVのときは約27.6 kGyとなる。先に計測した一照射あたりの線量から換算すると,滅菌に要する照射数は,陰極板印加電圧-100 kVのときは約200照射となる。 これらの結果より,イオン衝撃二次電子銃の繰り返し周波数を大きくするほど,短時間で滅菌ができることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は電子ビーム線量の絶対値計測が可能になったことにより,より系統的な滅菌実験が可能となった。しかしながら,滅菌プロセスの解明未だ十分でないため,来年度に集中的に取り組みたい。 また,イオン衝撃二次電子銃の性能向上,すなわち繰り返し周波数およびビーム加速電圧の向上についても,継続的に取り組んでいく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン衝撃二次電子銃については,陰極板印加電圧の向上と高繰り返し化に引き続き取り組む。また,電子ビームを大面積化するために,陰極板の可動化の有効性を検討する。 滅菌実験については,これまでの結果をより系統化するために,異なる菌種に対する滅菌実験を実施する。特に,電子ビーム出力や照射回数と滅菌状況の関係を詳しく調べる。また,電子ビームを照射した後の細菌の観測を行い,滅菌要因の特定を行う。
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Causes of Carryover |
計画していた成果発表を一件実施できなかったために残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度分の旅費に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)