2015 Fiscal Year Annual Research Report
イオン衝撃二次電子銃による大面積電子ビームの発生と滅菌への応用
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25420245
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 正人 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20251663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 栄喜 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70114890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電子ビーム / 二次電子銃 / 滅菌 / プラズマ応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,イオン衝撃二次電子銃の特性ならびに滅菌能力を評価するために電子ビームの空間分布の計測,滅菌処理実験および電子ビーム照射後の菌の観察を行った。 放射線滅菌の指標菌であるBacillus pumilusを用いた滅菌実験では,電子線のパルス周波数を変化させたときの細菌の生存率を測定した。結果より,イオン衝撃二次電子銃の繰り返しパルス周波数を増加させると殺菌効果は向上し,処理時間の大幅な短縮が可能となることがわかった。また,繰り返しパルス周波数の増加による殺菌効果向上の要因を調査するため,照射条件または培地環境を変化させ滅菌実験を行った。その結果,イオン衝撃二次電子銃による高繰り返し周波数でのパルス照射によって,細菌の細胞内でラジカル,特にO2-ラジカルが連続生成され,ラジカル濃度が増加し,殺菌効果の向上に寄与していることがわかった。また,パルス照射による殺菌効果には,DNA鎖の直接切断だけでなく,細胞膜の傷害も関与していることがわかった。 また,イオン衝撃二次電子銃によるパルス照射後の細菌表面の様子をFE-SEMにより観察した。その結果,イオン衝撃二次電子銃の電子線照射によって細菌表面に穴のような外的損傷が確認できた。また,ラジカル捕捉剤の添加時では,菌表面の外的損傷が確認出来なかった。これらより,イオン衝撃二次電子銃による電子線照射によって芽胞のコアに損傷を与え,菌を不活性化していることがわかった。また,菌表面の損傷効果は放射線分解によって生じたラジカルの作用によって生じることが示唆された。 以上の結果より,電子線の高繰り返しパルス照射は,滅菌器の利点を損なうことなく,滅菌能力の向上に効果的であるため,滅菌の有効な手法であることが示せた。
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