2013 Fiscal Year Research-status Report
アルキメデスポンプを用いた揚水発電による大規模風力発電の電力安定化の研究
Project/Area Number |
25420246
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菅原 晃 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00270934)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 風力発電 / 揚水発電 / アルキメデスポンプ / 間欠運転 / 電力安定化 / CO2削減 |
Research Abstract |
本研究は,これまで間欠運転ができなかった揚水発電技術と風力発電を融合させ,自然エネルギーによる発電が電力系統に与える電圧変動を許容範囲以内に抑えること,火力発電の運転割合を圧縮し我が国の発電システムにおけるCO2排出を削減することを目的とする。具体的には,アルキメデスポンプを用いることで,揚水発電と1か所で1000MW級の大規模風力発電の組み合わせを可能にし,風速予測と実際の風況との差分を本システムが吸収することにより,火力発電の稼働率を低減させ,結果として最大限CO2排出量を削減することを提案している。 平成25年度は,本研究で想定しているアルキメデスポンプについて,設計寸法とSUSを材料と仮定した場合の慣性モーメントおよび水の汲み上げを含め必要なトルクについて数値計算を行った。また,平成25年10月に学内4か所に風向風速計設置し,データ収集を開始した。現在まで,約1か月間隔でデータ回収を行い,解析および運転シミュレーションに活用している。風速変動の少ない場合は,ウインドファーム出力を高く設定し,台風通過のような変動が大きい場合は,ネイピア数(1/e)で圧縮する方法を提案し電力の安定化が可能であることを明らかにした。データ数が少ないので,2年程度データ収集を継続し解析していく。 2MW風力発電機の風速に対する発電機出力のサンプルデータを用い,20基×25基の格子状風車配列に対し,風上検知法を用いた本システムの運転シミュレーションを検討した。本サンプルデータからは,6基中3基において発電電力不足を検知した時点で水力発電機を起動させることで,受電端電力の安定化が可能であることが分かった。計測中の風速データのサンプル数を増やし,最適な運転シミュレーションを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的の中で,平成25年度分として計画していた模擬実験装置の基本設計が完了し,平成26年4月8日にアルキメデススクリューの製作を発注した。また,風況観測システムを構築し,データ収集を開始しほぼ順調に運用を継続している。シミュレーションについては,風速変動に応じて予測発電出力を圧縮する手法について新たな提案を行い,検討している。2MW風力発電機の風速に対する発電機出力のサンプルデータを用いた数値シミュレーションと,設定したアルキメデスポンプの設計寸法とSUS材料を仮定した場合の慣性モーメントおよびエネルギー変換の数値計算,およびシステム全体の発電コストを概算し経済性について検討した。この一部を平成25年12月に開催された第35回風力エネルギー利用シンポジウムで発表した。平成25年度の研究計画がほぼ予定通り終了したことにより,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達成するため平成26年度は,本システムの模擬実験装置を製作し,実験を行うことで,エネルギー変換効率や運転特性を明らかにしていく。下池から上池へ水を汲み上げる際に適した回転数になるようにモータおよびギアでの調整を検討する。ここで,スクリューの回転を完全停止すると最大起動トルクが発生し効率の低下が予想される。このため,スクリューは低回転で回転を続ける方が有効であると考えられるが,その最適回転数を明らかにするため,実験とモータ特性からの数値シミュレーションを行い,実用化に向けた課題と解決方法を検討する予定である。また,継続して風況データの収集と解析を行い,風速変動が激しい場合における予測発電量の設定と本システムの電力安定化方法の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルキメデスポンプのスクリュー部分の設計を行った。研究計画を前倒しし,平成25年度中にスクリューの製作を行おうとしたが,詳細について製作会社との打ち合わせが長引いた。 アルキメデスポンプのスクリュー部分について,平成26年4月8日に発注した。スクリュー仕上がりに合わせ,外円筒パイプを製作する。スクリュー部分の製作費約26万円(平成26年5月納入予定)と外円筒パイプ製作費約7万円(平成26年5月納入予定)などで使用する。
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