2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴型無線エネルギー伝送に伴う電磁界に対する高速ドシメトリ手法の開発と応用
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25420251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 晃正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00335374)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電磁界の安全性 / 解析技術 / 国際標準化 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
初年度は計算機による数値解析に基づき検討を進める。具体的に、生体に対する電磁界解析において、準静近似の適用が可能であることを立証できれば、測定磁界を解析に直接組み込むことができ、全電磁界解析手法に比べて大幅な速度改善が期待できる。そこで、準静近似の数値解析手法としては、生体電磁界解析手法の中で最も高速とされるスカラーポテンシャル有限差分法を適用し、検討した。その結果、Full-wave解析可能な商用ソフトウェアより得られた解との比較により、10MHz程度までの周波数領域であれば、外部磁界は人体の存在によりほとんど影響を受けず、体内誘導量を推定可能であることを示した。なお、研究協力者(マウロ・フェリチアーニ氏)との連携により、この傾向は医用機器での無線電力伝送に対しても有用であることを確認した。 これまで、スカラーポテンシャル有限差分法の基本方程式を解くに当たり逐次加算緩和法が用いられてきたが、基本方程式に変形を加えた上で、幾何多重格子法を実装する方法を考案、特に、実装した際の初期条件の最適化を行い、従来の計算時間が6時間程度であったものを1-2分に短縮することができた。開発したモデルを用いて、実用的な無線電力伝送システムの解析に適用した。具体的には、100kHz帯、10MHz帯における磁気共鳴型コイルの解析に適用し、外部磁界強度は国際防護ガイドラインの推奨値を超過しているものの、体内に誘導される電界は制限値を十分下回っていることが分かった。また、体内に誘導される電界のばらつきは、主に体の寸法によるものことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載していた内容に加え、医療応用に対する有用性を確認することができた。また、国内において無線電力伝送の標準化が始まり、総務省委員会の作業班構成員として参加している。関係者より多くの情報を得ていること、また、得られた情報からより現実に近い問題に対するデータを算出することができた。具体的には、自動車への無線給電、携帯情報通信端末機器への給電などに対する評価を実施、標準化委員会でも成果を公開した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた成果に対し、電磁界解析と回路論の併用、さらなる高度化を検討する。具体的には、人体の存在のため、送信あるいは受信コイルの入力インピーダンスが変化することが予想され、また、内部インピーダンスの状態によりコイルに流れる電流が変化、ひいては外部磁界強度が変化することが考えられる。このような領域では、人体の移動に伴い、コイルの入力インピーダンスが時々刻々と変化する可能性があり、「何が最悪のばく露条件なのか?」を明らかにしたうえで、評価法を提案する。なお、本項目に研究協力者(マウロ・フェリチアーニ氏、藤原修氏)および大学院生2名(平成26年度)の協力を予定している。コイル周辺の磁界測定結果と解析値の比較を行うとともに、人体を模擬したファントム(疑似人体モデル)を配置し、その存在下でのコイルのインピーダンスの変化について検討する。この比較を通して、測定が容易な評価方法を提案する。 詳細人体モデルを用いて、防護ガイドラインの指標となる体内誘導電界あるいは吸収電力量(周波数に依存)を評価することは、システム設計の観点からは効率的ではなく、他の無線システムでも実施されていない。従って、体内誘導電界と相関の高い外部電磁界に関する指標を考察する必要がある。数値解析を中心にその妥当性を実験的にも検証する。その際には複数のばく露条件を考え、統計的なアプローチをとり、その知見を裏付けるための近似的な理論解を導出するものとする。なお、国際標準化を念頭に、国際研究者交流、特に共同での外部発表を行う。
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Research Products
(5 results)