2015 Fiscal Year Annual Research Report
時間関数最適化に基づくPMSG風力発電機数値制御の実験
Project/Area Number |
25420265
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
熊野 照久 明治大学, 理工学部, 教授 (80371243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蓄電池制御 / システム工学 / ネットワーク / エネルギー効率化 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではPMSG型風力発電機の出力最大化と系統電圧変動抑制など複数の目的を同時に満たす高度な運用を実現するための制御方式をを開発する。 平成27年度は,当初計画に従って風力発電模擬用PMSG小型モデルを用いたハードウエア試験を中心に実施した。ところが計画段階での想定以上に発電機本体の機械的損失が大きく,かつ回転数に大きく依存して変化した。このため変分法による数値制御の効果が有意に観測できず,当該装置による本研究課題の計画通りの推進は困難となった。ただし,発電機本体ではなく,26年度以来進めている蓄電池制御には実機試験による効果が確認されたため,その検討を進めた。現在,この内容を外部発表すべく論文作成を進めている。 さらに年度当初の計画になかった事項であるが,上記のとおり模擬発電機の損失が想定外に大きかったことより,この特性を逆手にとって発電機損失を利用した新課題への展開を企図した。この点については既に別の研究として科学研究費補助金に提案し,基盤研究(C)としてお認めいただくことができた。 本研究の期間全体を通じて実施した研究の成果としては,大きく分けて二つある。一点は風力発電機のみならず系統全体の変動補償用の蓄電池制御方式としてEulerの方程式の直接数値積分を用いた新しい手法を開発したことであり,これについては国際会議への発表および国際ジャーナルへの投稿を行い,ともにアクセプトされた。二点めは,本研究課題の方針変更の原因ともなった,風力模擬小型機の損失特性を用いて新しい研究課題につなげたことである。前者は自然エネルギーの導入加速を目指す我が国の電力系統において,その伝統的に優れた供給電力の品質を維持・向上することにつながり,重要と考える。後者は平成28年度に開始した電力自由化の新フェーズに向け,電力料金の算出根拠を明示するモデルとなる可能性があり,重要と考えている。
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