2013 Fiscal Year Research-status Report
EV用に適した脱レアアース外転型磁束変調同期機の開発
Project/Area Number |
25420268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
深見 正 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60247434)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | EV / インホイールモータ / 同期機 / ブラシレス同期機 / リラクタンス回転子 / 界磁巻線 / 集中巻 |
Research Abstract |
本研究では,より低コストの電気自動車(EV)用インホイールモータの実現を目標に,磁気ギアによる減速効果を持ち,希土類永久磁石を使用しない(脱レアアース)外転型磁束変調同期機を開発する。 平成25年度(初年度)は,プロトタイプを設計・製作し,研究対象機の原理を実験により確認した。詳細は,以下のとおりである。 (1)プロトタイプの設計と製作: 有限要素解析(FEA)により,可能な限りトルクが最大となる極数,巻線構造,およびコア形状を求めた。これに基づいて,プロトタイプを製作した。主要寸法と出力(~1.5 kW程度)は,本学・夢考房プロジェクトのソーラーカー用インホイールモータを参考にして決定した。ただし,プロトタイプは,実験の都合上,巻線の電流密度を汎用モータ(産業用のモータ)と同程度に設計し,冷却方式を空冷とした。したがって,通常のEV用モータに比べると,トルク密度は低く設計している。 (2)数学モデルの構築: 研究対象機のトルクの発生メカニズムと制御法を明らかにするために,数学モデル(インダクタンス,電圧方程式,トルク式など)を誘導した。その結果,研究対象機はマグネットトルクのみで動作し,通常の円筒形同期機と類似の特徴を有することがわかった。 (3)実験による原理確認: プロトタイプのインダクタンス特性を測定した。その結果,数学モデルどおりに電機子巻線と界磁巻線の間の相互インダクタンスのみが回転子角度に依存し,研究対象機がマグネットトルクのみで動作することを実験により確認した。また,ベクトル制御(id=0制御)により,プロトタイプの電流‐トルク特性,電流‐力率特性,電流‐効率特性などを測定した。数学モデルに基づき界磁電流を固定して電機子電流(q軸電流)の大きさのみを制御すると,数学モデルどおりにトルクの線形制御が可能なことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成25年度は,プロトタイプの設計・製作と原理の確認試験(ごく簡単な実験のみ)を予定していた。その過程で,プロトタイプの原理をより明確にするには,理論(数学モデル)の構築を優先すべきと判断し,平成26年度に実施を予定していた内容の一部を前倒しして実施した。その結果,予想よりスムーズに,理論的な裏付けを取りながら,原理の確認試験を進めることができた。 得られた成果は,すでに電気学会の回転機研究会で発表し,同分野の技術者・研究者から評価を得ている。また,同発表内容は,電気学会の論文誌(D分冊)にも投稿し,掲載が決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,平成25年度の研究成果を基に,構想調書の内容を一部前倒しながら,基礎実験の継続と,特性予測や制御に必要な理論の構築を進める。詳細は,以下のとおりである。 (1)トルク密度の評価と損失の分析: プロトタイプのトルク密度と損失をFEAと実験の両面から詳細に分析し,研究対象機の高出力・高効率化のための基礎資料を得る。 (2)インダクタンス解析: 構築した数学モデルを用いて,FEAと実験により,研究対象機のd-q軸インダクタンスをより詳細に分析する。特に,機内の磁気飽和による非線形性がd-q軸インダクタンスに及ぼす影響を明らかにし,研究対象機固有の特徴を把握する。 (3)特性計算法の構築: インダクタンス解析の結果に基づいて,研究対象機の特性計算法を検討する。併せて,実験によりその妥当性を確認する。 (4)成果発表: 得られた成果は,電気学会の支部大会,回転機研究会,全国大会,国際会議などで発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,プロトタイプの試作と測定用パワーアナライザーを購入した。その際,交付された直接経費では,予算不足であったため,前倒し請求を行った。しかし,前倒し請求が原則10万円単位であったため,平成26年度使用額(当該助成金)が若干生じた。 平成26年度は,これらの助成金を構想調書に記載のとおり学会発表の旅費や実験に係わる諸費用などに利用する。
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Research Products
(2 results)