2013 Fiscal Year Research-status Report
零相電圧を有効利用した電力変換器のノイズ低減技術の研究
Project/Area Number |
25420275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
綾野 秀樹 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50614525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電力変換器 / 電磁波障害 / EMI / コモンモード / 零相電圧 / モータ制御 |
Research Abstract |
幅広い分野でインバータ等の電力変換器の導入が拡大し、省エネルギー化に貢献している。一方、電力変換器の課題として、スイッチング時に発生する電磁ノイズが挙げられ、自機器や周辺機器の誤動作を誘発する恐れがある。この対策技術としては、コモンモードチョーク等のノイズ抑制部品により電磁ノイズの要因となる漏洩電流を低減する方式が一般的であるが、ノイズ抑制部品の電力変換器の全体実装に対する割合は大きく、小型軽量化は大きな課題となっている。この課題に対して、出力電圧に有効に零相電圧を重畳し、電力変換器が出力するコモンモード電圧の周波数成分を変化させて低ノイズ化を促進する方式を提案した。提案方式は制御演算処理(ソフトによる処理)のみで低ノイズ化が実現できる点が特徴である。本研究では、特に、モータ駆動時に着目した零相電圧加算量の最適化手法を検討する。モータ駆動時には誘起電圧が発生するため、零相電圧の加算量に制約が発生する。平成25年度は、対地コンデンサとコモンモードチョークを使用した形態において漏洩電流に着目し、対地コンデンサの位置に対する波形変化の原理解明や零相電圧加算による低ノイズ化効果を明らかにした。さらに、モータの回転速度の変化に対し、回転速度をパラメータとした零相電圧重畳量の演算手法を提案した。この演算手法に対して、回路シミュレータを使用した詳細なシミュレーションを実施し、漏洩電流の振幅を有効に低減できることを明らかにした。また、実機による検証を実施するための電力変換器主回路(ハードウエア)とそれを駆動するためのソフトウェアの作成に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モータの回転速度の変化に対し、回転速度をパラメータとした零相電圧重畳量の演算手法を提案した。この演算手法に対して、今年度購入した回路シミュレータを使用して詳細なシミュレーションを実施した結果、速度変化を考慮した条件において漏洩電流の振幅を約3割低減できており、研究当初の目標値である25%以上低減することを達成できる見通しを得た。また、平成26年度以降に実施予定の実機による検証に向けて、評価システム(設定可能なインバータ駆動コントローラを搭載したインバータ‐モータシステム)を購入し,電力変換器と、コモンモードチョーク、対地コンデンサなどのノイズ抑制部品によるハードウエア部分を概ね完成させた。さらに、これを駆動するためのソフトウェアの作成に着手しており、当初計画以上に検討は進展していると言える。なお、漏洩電流の原理究明に当たり、零速度状態の対地コンデンサの位置に対する波形変化の原理を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に製作した装置を活用して、実機試験評価による提案方式の有効性の実証をしていく。さらに,研究過程によって発見された事象など,研究成果をまとめて学会等で発表を適宜実施していく予定である。また,研究計画の遂行体制としては,1名の卒業研究生を研究協力者として充てる(研究代表者が卒業研究生の指導を実施する)。さらに,研究協力者として,元北海道大学の福田昭治先生,滋賀県立大学の稲葉博美先生,東京工業高等専門学校の松井義弘先生にアドバイスを頂きながら推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
提案時に想定していた備品費用、消耗品費用、旅費のうち、初年度は備品費用購入に注力し2,134,230円の支出をした。さらに、学会参加費として65000円の支出をした。この結果、25年度は、770円が余る結果となった。実験消耗品を購入することも検討したが、マイナス計上になるため、26年度に繰り越すこととした。 使用計画に基づいて、測定器(ディジタルオシロスコープ、電流プローブ)、および、実験時に必要な消耗品を購入する。さらに、学会に参加し発表や関連研究の情報を収集する。このための参加費用を予定している。
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Research Products
(3 results)