2014 Fiscal Year Research-status Report
空間分解分光学的見地からのIII族窒化物不均一混晶半導体の発光機構解明
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25420288
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
倉井 聡 山口大学, 理工学研究科, 助教 (80304492)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | AlGaN / InGaN / 混晶半導体 / 量子井戸 / カソードルミネッセンス / 顕微分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
Si添加量の異なるAlGaN/AlGaN多重量子井戸(MQW)の走査電子顕微鏡(SEM)/カソードルミネッセンス(CL)マッピング評価を行い、Si添加が表面構造、発光分布および内部量子効率に与える影響について考察した。 Si添加量の増加に伴う表面平坦性の悪化は、今回の試料では見られなかった。これは、Si流量が比較的少ない条件であること、および障壁層のAl組成が高いことから、ヒロック形成の条件から外れたためと考えられる。室温全光CL像中に観測された暗点密度はXRCの半値幅から予想される貫通転位密度のオーダーであり、Si濃度に対して単調に増加していることがわかった。この結果を内部量子効率(IQE)と比較すると両者に相関がないことがわかった。これはSi濃度を一定としバリア層厚を変化させた場合に、暗点密度と内部量子効率の相関が見られたこととは異なる。効率に寄与する別の要因として組成/界面平坦性の揺らぎが考えられたが、発光分布の度合いの指標としてCLスペクトルの半値幅を比較したところ、Si濃度を変えても同程度であった。これらから、AlGaN-MQWにおけるSi濃度と発光効率の相関は、構造的要因よりもむしろSi添加に伴う点欠陥密度の変化の寄与が大きいと結論づけた。 また、AlGaN薄膜のスポットCL測定を行うことにより、マクロスコピックな発光分布を排除した微小空間からの発光半値幅のAl組成依存性、Si添加量依存性を評価した。得られた結果について、完全ランダム混晶において理論的に予測されるアロイブロードニングとの比較を行い、高Al組成側でアロイブロードニングによる予測よりも大きな発光半値幅の広がりがあることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Si添加量の異なるAlGaN/AlGaN-MQWのCLマッピング評価により、年度計画の目標であるSi添加に伴うAlGaN-MQWの発光空間分布を明らかにした。転位密度と内部量子効率に明瞭な相関が見られないことから、内部量子効率に支配的な影響を及ぼすのが点欠陥であることを示唆する結果を得た。 また、AlGaN薄膜の発光空間分布についてスポットCL測定を行うことにより、AlGaN薄膜の発光空間分布についてさらに微視的な見地からの議論を深めることができた。 さらに、GaInN薄膜のCL測定の温度依存性の評価を開始し、既に一定の結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
目下、AlGaN-MQWのスポットCL評価結果について更に考察を深め、研究成果としてまとめているところである。また、試料中のキャリア輸送に対する直接的な描像を得ることを目的に、GaInN薄膜およびGaInN量子井戸のCLマッピング測定の温度依存性について評価を進め、成果としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に投稿する予定であったAlGaNのCL測定結果に関する論文が、解析や推敲に時間を要したため年度内に間に合わず未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在執筆中の論文投稿料に充当する予定である。
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Research Products
(5 results)