2013 Fiscal Year Research-status Report
高温における絶縁材料中の高分解能空間電荷分布測定装置の開発
Project/Area Number |
25420297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
田中 康寛 東京都市大学, 工学部, 教授 (30227186)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子絶縁材料 / 空間電荷分布 / パルス静電応力法 / 直流高電圧 / 高温 / 高位置分解能 / 絶縁破壊 |
Research Abstract |
高電界下で高分子絶縁材料中に蓄積する空間電荷分布を、高温、高位置分解能で計測できる測定装置を開発している。絶縁材料内部に蓄積する空間電荷は、材料内部の電界分布を変歪し、絶縁劣化や絶縁破壊を引き起こす原因となると言われ、その測定方法の開発は、優良な絶縁材料を開発するために不可欠である。一方、電子機器基板やワイヤの被覆に使用される絶縁材料は数十ミクロンと非常に薄く、また高温での試験が行われるため、このような絶縁材料内部の空間電荷を計測するためには、高温・高位置分解能の測定装置が必要となる。 本研究では、このような背景の下、30ミクロン程度の厚さのフィルム状試料を、10%程度の位置分解能(3ミクロン程度)で、100℃の高温下で計測できる測定装置の開発に取り組んでいる。平成25年度は、室温における測定の位置高分解能化と、高温環境下における測定装置の開発を試みた。その結果、高分解能化については、薄い高分子フィルムの圧電素子と1ns以下のパルス幅のパルス発生器を使用することにより、目標の3ミクロン程度の測定が達成できることを明らかにした。一方、高温下での測定は、通常、温度変化の影響を受けにくい結晶性の圧電素子を使用していたが、位置分解能を向上させるためには、特殊な加工技術を要する結晶性の圧電素子より、室温の測定で通常使用されている高分子フィルムの圧電素子を使う方が開発には適している。しかし、高温環境下では高分子フィルムの圧電素子の圧電性が失われるため、使用が困難であった。しかし、今年度は、装置に改良を加えることによって、高分子フィルムによる圧電素子を使って、80℃程度の測定まで実現している。今後は、両システムを統合して、高温・高分解能化を図る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
室温において狙い通りの高位置分解能の測定装置を作製できたことは大きな成果として上げられる。一方、高温での測定装置の開発については、進捗状況が芳しくない。高温での測定では、装置自身のみならず、接続する端子やケーブルなどにおいても、耐熱性を検討しなければならず、さらに高温・高電界下における絶縁設計に時間を要したため、現在では目標の100℃での測定に至っていない。ただし、設計の方向性についてはおおむね定まってきたので、平成26年度には装置の設計を終えて試作する段階にあるため、今後、高温下での高位置分解能を有する装置を開発できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、まず開発した高位置分解能を有する測定装置を用いて、室温において連続して計測を行う実証試験を実施する。確かに、位置分解能評価では、目標である3ミクロン以下の位置分解能を実現したが、実際の測定に耐えうるかどうかの試験を行うまでには至らなかった。今年度はまず、開発した高分解能装置が安定して動作可能であるかを検証する。次に、高温測定装置では、100℃での測定が可能である装置を開発する。これについては、高位置分解能装置として開発した測定装置で使用している高分子フィルム状圧電素子を利用できなければシステム統合ができないため、高分子フィルム状圧電素子を使って100℃でも安定して計測可能なシステムを作製・試験して、今年度末までに両システムの統合を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、データ処理のために学生アルバイトを使用する予定であったが、実際にはそれほど多量に処理するデータが発生しなかったため、謝金として支払う予算が不要となった。一方、当初は予算に計上していなかった関連論文を投稿することとなり、英文校閲を実施したため、その他の費目の支出が当初予定より多くなった。双方の差額が、上記の金額となった。 今年度は、処理するデータ数も多くなるため、次年度使用額は当初の予定通り、謝金として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)