2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気ビーズと集積化磁気センサを利用した細胞観測・順送り運搬システムに関する研究
Project/Area Number |
25420317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
木村 孝之 茨城大学, 工学部, 准教授 (50302328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 教授 (40199691)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁気センサ / 集積化センサ / CMOS / ホール素子 |
Research Abstract |
平成25年度には磁気センサの改良を主に行った。これまでの集積化磁気センサでは磁気センサ本体の微細化(1μm角)には成功していた。しかし、その周辺回路の微細化は行われておらず、磁気センサのピッチは20μmであった。この様に、磁気センサ本体が小さくてもピッチが大きいと、大きさが10μm以下の磁気ビーズを観測することは困難である。このため、周辺回路の微細化に関して検討を行った。また磁気ビーズの励磁用コイルに関するシミュレーションを行った。 本研究で使用されている磁気センサには感度を良くするためにnチャネルMOSFETが使用されている。その読み出しにはバイアスの関係でpチャネルMOSFETが使用される。このpチャネルMOSFETは磁気センサの近くに配置されるためにウェル分離が必要となり、磁気センサのピッチを小さく出来ない原因である。そのため、4つの磁気センサのpチャネルMOSFETを、ウェルを共有する形で配置することでウェル分離のスペース削減を試みた。この集積化磁気センサを0.18μm標準CMOSプロセスで設計したところ、磁気センサのピッチを7μmにする事に成功した。また集積化磁気センサを試作し感度を測定したところ0.125mV/mTであった。この値はこれまでの研究で実現された感度0.105mV/mTと同等以上である事が確認できた。以上の様に周辺回路の配置を最適化することで10μm以下の磁気ビーズを観測するための集積化磁気センサの準備が終了した。 合わせて励磁用コイルに関するシミュレーションを行った。設計した励磁用コイルは7μm角とした。その結果、励磁用コイルにより発生する事が出来る磁束は試作した磁気センサで検出出来る値よりも3桁以上小さい事がわかった。そのため、平成26年度はより大きな磁束を発生するためにコイルの大きさを再検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は「磁気ビーズのセンシング特性の向上」、「磁気ビーズの順送り運搬機構の実現」、「細胞の観測、順送り運搬システムの構築」を行い、10μm以下の細胞の観測と順送り運搬が可能であることを明らかにすることである。 はじめに「磁気ビーズのセンシング特性の向上」を目的とした磁気センサの微細化に取り組んだ。その結果、これまでの研究では20μmであった磁気センサのピッチを約1/3の7μmまで小さくする事ができた。この結果、10μm程度の磁気ビーズを観測するための準備を整える事ができた。これは平成25年度の研究実施計画以上の成果である。 続いて「磁気ビーズの順送り運搬機構の実現」のための準備として有限要素法を用いた励磁用コイルの検討を行った。有限要素法を用いた電磁場解析から、7μm角で設計したコイルでは十分な励磁用の磁場の発生が出来ないことがわかった。これは平成25年度の研究実施計画よりやや遅れている。 以上の様に集積化磁気センサの開発では計画以上の進展がみられ、励磁用コイルの最適化では計画よりやや遅れているため、総合的に判断するとおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に研究が進んでいるため、研究実施計画に従って研究を進める。ただし、やや遅れている励磁コイルに関する検討はコイルを大きくする方針で研究を最優先で進める事で遅れを取り戻す事とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初励磁コイルの設計に使用する事を予定していた有限要素法ソフトウェアの有償のレンタルをやめ、無償で短期間借りたため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額と翌年度分の助成金を含めて励磁コイルの試作に使用する事を計画している。設計にかかる費用を抑えられたため試作に手厚く予算を充当し、より短期間で性能の高い励磁コイルの開発を目指す。
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Research Products
(1 results)