2014 Fiscal Year Research-status Report
超高記録密度積層構造ナノワイヤメモリの低電流・高速動作に関する研究
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25420318
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 龍二 茨城大学, 工学部, 教授 (20292477)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁気メモリ / 電流誘起磁壁移動 / 多層構造 / 高速化 |
Outline of Annual Research Achievements |
積層構造磁性膜を利用したナノワイヤメモリの低電流駆動,高速磁壁移動を目標として,積層構造における磁性薄膜の組み合わせや構造を検討している.平成26年度は,積層構造における磁壁移動速度向上の方策として,多層膜の厚さ方向に分布した駆動電流を利用する方法を検討した.古典電磁気の範囲で生じる電流磁場,渦電流磁場の解析方法を整備し,磁壁の運動方程式と組み合わせて,多層構造における磁壁移動モードを解析した. 単層の場合には,電流磁場の対称性から磁壁移動に影響を及ぼさないことを確認した.また,単層における渦電流磁場は磁壁角度に依存するダンピングとして作用することがわかり,電流の強さに応じてダンピングの大きさが変わることが示唆された. 多層構造の場合には,各層を構成する材料の電気伝導度の差が重要な役割を果たしており,この電流分布によって電流磁場の対称性が崩れ,磁壁移動モードに影響を及ぼす大きさになり得ることがわかった.これらを考慮して磁壁運動を解析したところ,スピントルクの非断熱パラメータが大きい場合で,磁壁移動速度を2倍程度にまで改善できる可能性を明らかにした. 実験的には本提案で扱うフェリ磁性体の組成が磁壁移動に直接作用するスピン分極率に及ぼす影響について検討した.その結果,以前に磁気トンネル接合で検討されたスピン分極率と磁壁抵抗から見積もったスピン分極率は同程度であることがわかり,希土類組成に依らず十分なスピン分極率が得られることが明らかとなった. 以上の結果から,提案材料の多層構造を工夫することによって,磁壁移動速度がさらに改善できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
積層構造における低電流駆動,高速移動の可能性を示すことが出来た.また,実験的にも積層構造を構成する基本材料の検討が進んでいる.しかし,さらなる高速化のためには,積層構造間の交換結合に加えて,スピン軌道トルクなどの理論的な解釈が必要であり,今後は理論的な検討も加えて研究を加速する.
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Strategy for Future Research Activity |
積層構造における低電流駆動,高速移動の可能性を示すことが出来たが,実証のための十分な環境整備が出来ていないのが現状である.本研究が目標とする,磁壁高速移動のためには,積層構造間の交換結合に加えて,スピン軌道トルクなどの理論的な解釈が必要であり,今後は理論的な検討も加えて研究を加速し,映像情報を目的とした高速デバイス構築の基本原理を明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた解析を先に進め,実験で使用する機器整備を平成27年度に行うため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験で使用する成膜装置周辺部材,微細加工部材をH27年度にまとめて整備し,実験も加速する
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Research Products
(14 results)