2013 Fiscal Year Research-status Report
60GHz帯次世代超高速無線通信用ミリ波広帯域フィルタに関する研究
Project/Area Number |
25420319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
馬 哲旺 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40282909)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無線通信 / ミリ波 / 広帯域フィルタ / マイクロストリップ線路 / マルチモード共振器 / 周波数特性 |
Research Abstract |
使用免許不要の60GHz帯のミリ波は、次世代の超高速大容量無線通信システムに使用される電波として期待され、関係の研究開発が盛んに行われている。中でも60GHz帯の高性能な広帯域フィルタも要求されている。本研究では、今年度でまず60GHz帯において、マイクロストリップデュアルモードリング共振器と半波長共振器を併用した小型広帯域通過フィルタ構造を提案し、その設計を行った。リング共振器は高Q低損失等の特徴を持ち、低損失が厳しく要求される高い周波数帯では特に利点がある。また、低い周波数帯では1/4波長共振器や半波長共振器等と比べ、リング共振器はサイズが大きくなってしまうが、ミリ波帯では逆に製作しやすい利点となる。しかし、従来、パラレル結合方形デュアルモードリング共振器は広い通過域と急峻な減衰特性を持つものの、阻止域と減衰量が不十分という欠点がある。 そこで、本研究では、(1)デュアルモードリング共振器とパラレル結合給電線の間に折り曲げた半波長共振器を組み込んだ構造を提案し、回路の小型化を図り、同時に広い阻止域を達成させる。(2)提案したフィルタの伝送線路等価回路に基づき、偶-奇モード解析を行い、フィルタ設計のための重要な公式、すなわち、通過域内にある反射ゼロ点周波数、阻止域内に発生する減衰極周波数および3dB通過域幅に関する計算公式を導出した。(3)導出した計算公式を用いて、回路のパラメータに対するフィルタの特性変化および設計図を得た。(4)中心周波数60.3GHz、3dB比帯域幅約12%の帯域通過フィルタを設計し、所望の広い通過域、急峻なスカート特性および広い阻止域幅を実現した。(5)関連して、マイクロストリップ低域通過フィルタと高域通過フィルタの組み合わせによる広帯域フィルタの設計法、フィルタの阻止域特性を改善するためにマイクロストリップ結合線路構造を用いた低域通過フィルタの設計手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)マイクロストリップデュアルモードリング共振器を利用したミリ波小型広帯域通過フィルタの提案と設計が行われ、所望の特性を得た。 (2)デュアルモード共振器を含め、マルチモード共振器を利用したフィルタに適する共振器並列型フィルタの設計理論と設計方法の研究も進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度ではマイクロストリップデュアルモードリング共振器と半波長共振器を組み合わせたフィルタ構造を提案し、中心周波数60.3GHz、3dB比帯域幅約12%の帯域通過フィルタを設計した。所望の広い通過域、急峻なスカート特性および広い阻止域幅を実現した。しかし、設計に用いた回路基板は厚さ0.125mmで、強度は弱い。また、フィルタの回路にある最小線幅と空隙は0.1mm以下であったため、フィルタを安価に試作することがやや困難である。 そのため、今後 (1)厚さ0.25mmの基板を用いて、フィルタの再設計を行う。また、 (2)共振器励振構造等を改め、回路にある最小線幅と空隙を0.1mm以上とし、フィルタの再設計を行い、要求仕様のフィルタ特性を実現する。 (3)再設計したフィルタの試作および測定評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィルタの再設計を行う必要があり、回路基板の購入と試作を次年度に遅らせたため、次年度使用額がに生じた。 次年度では、ミリ波フィルタの再設計および試作測定を行うために、当該年度の予算額と前年度の残額を併せ、高速大容量のパソコンおよび回路基板を購入する。
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Research Products
(4 results)