2014 Fiscal Year Research-status Report
微分量子化器を用いた混載信号処理LSIの低消費電力化に関する研究
Project/Area Number |
25420345
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
傘 昊 東京都市大学, 工学部, 准教授 (30400774)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 集積回路 / AD変換器回路 / 混載信号処理回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ナノCMOS 時代の微細化によるアナログ回路の精度劣化, 消費電力急増の課題を解決するため, デジタル信号処理技術とアナログ回路技術を融合した集積回路設計手法を利用し,高精度かつ低消費電力のアナログ・デジタル混載LSI の開発を目指している.高精度かつ低消費電力のアナログ・デジタル混載LSIでは欠かせない,アナログ・デジタル変換器(AD 変換器) 回路を取り上げ,実用上の問題点である高い消費電力に焦点を合わせ,消費電力を削減する新規技術の開発を目的としている. 研究の2年目では,昨年度行っていたΔ∑変調器の全体構成と要素回路の実現方式の検討の結果に基づき,高精度AD変換器回路の具体的な実現回路の詳細設計を行った.トランジスタ・レベルの回路設計を行い,SPICEを用いるシミュレーションで回路の動作と機能を確認した.新たに提案・設計したAD変換器回路をシミュレーション結果として,従来構成より50%以上の消費電力削減を確認でき,今現在は論文投稿検討中で,次年度に学会で研究結果の報告を行う予定.LSIチップ試作のために,詳細配置・配線を行うレイアウト設計も行った後,機能・性能・配線などの最終的な設計検証を行った上,LSIチップの試作を行った.また,試作したLSIチップを測定するための評価回路の設計も行い,試作した要素回路の測定・評価を行った.試作したAD変換回路の動作と機能を確認でき,次年度に引き続き,異なる動作条件での測定・評価を行う予定で,その実測結果をまとめて,論文投稿を検討し,次年度の学会で研究成果報告を行う予定.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,研究を確実に推進している.初年度では低消費電力を実現可能なΔ∑変調器構成の検討を行い,全体回路構成方式を確定した.2年目では,初年度の研究成果に基づき,具体的な実現回路の詳細設計を行い,計算機によるシミュレーションで設計した回路の機能と性能を確認した上,実験データを獲得ためのLSIチップ試作を行った.試作したLSIチップを入手し,測定・評価を通じて,一部の実験データを獲得できた.上述通り,回路方式の理論的な検討と計算機による計算・解析だけでなく,LSIチップの試作により,実験データを獲得し,実験検証の実現可能性を示したので,おむね予定通りの研究が順調に進展できたと判断した.次年度は,測定・評価およびデータ解析に丹念し,研究成果をまとめて学会等で報告を行う予定.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では,新しい微分量子化器を含むΔΣAD変調器の開発と通して, 低消費電力アナログ・デジタル混載LSI の最適化設計手法と設計理論の確立する事を目指している.1年目では,回路方式と構成手法の検討を行い,2年目では実現回路の詳細設計を行い,実際のハードウェア(カスタムLSI チップ) の試作を行った.最終年度では,試作チップを用いる実験検証を主眼におき,異なる動作条件での測定・評価を行い,提案した回路構成手法の正当性を検証していく予定.また,実験結果の解析を行い,改善すべき点を明確し,さらなる研究完成度の向上につとめる予定.
|
Causes of Carryover |
試作したLSIチップの性能評価を行うために,初期不良を見込んで評価回路を5つ作成し,測定を行う予定でしたが,作成した評価回路3つで,予定していた測定項目の実験を行うことができたので,実測データを獲得するための実験を優先にした.次年度,引き続き追加実験を行う予定であり,測定を行うための評価回路用電子部品追加試験で使用する測定用ケーブル等を追加で購入必要がある.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度,引き続き試作LSIチップの性能評価を行い,直流特性,交流特性以外に,温度特性,電圧特性など異なる動作条件の実験データも取得する必要がある.測定のための電子部品と実験用ケーブル類を購入のために次年度の予算と合わせて使用する予定.
|