2015 Fiscal Year Annual Research Report
TDGL方程式のシミュレーションによる超伝導ストリップライン検出器の高性能化
Project/Area Number |
25420350
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
馬渡 康徳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 上級主任研究員 (70358068)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超伝導 / 検出器 / シミュレーション / 時間依存 Ginzburg-Landau 方程式 / 単一光子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに行った MgB2 超伝導ストリップを用いた分子イオン検出器の開発に関する実験結果と,その検出動作について時間依存 GInzburg-Landau (TDGL) 方程式等を数値的に解いて実験データを再現したシミュレーションの結果とをまとめ,Applied Physics Letters 誌に論文発表を行なうとともに,小型冷凍機で動作する超伝導分子検出器の開発としてプレス発表も行った. さらに,超伝導ストリップを用いた単一光子検出器に関する TDGL 方程式等による数値シミュレーション結果に基いて,新原理による超高速の新型超伝導単一光子検出器を考案し,特許出願を行った.従来型の超伝導ストリップ単一光子検出器においては,超伝導ストリップが光子を吸収して局所的に常伝導転移することによる電圧パルスを検出するものであり,その動作の時間スケールは超伝導ストリップのインダクタンスと測定回路のシャント抵抗との比で決まる ~ns のオーダーである.一方,この新型検出器では,光子吸収から常伝導転移に至る前の超高速の前駆現象を超高速検出回路により直接検出するものであり,その動作の時間スケールは前駆現象と検出回路の時定数で決まる ~10ps のオーダーである.すなわち,新型検出器は,従来型に比べて2-3桁高い計数率(高速動作)となることが期待され,さらに高い検出効率,低い暗計数率,および短い時間ジッタも予想され,将来の高度な量子情報通信などの実現に資するものになると期待される.今後は,この新型検出器についての研究開発を,実験的・理論的に進めていく予定である.
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Research Products
(7 results)