2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陳 強 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30261580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 佳祐 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20633374)
袁 巧微 仙台高等専門学校, 情報ネットワーク工学科, 教授 (80509729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / アンテナ / 近距離無線電力伝送 / 共鳴型無線電力伝送 |
Research Abstract |
マルチアンテナを用いた無線電力伝送システムをマルチポートのネットワーク等価回路として,その等価回路のS行列を導出した.また,S行列により,本無線電力伝送システムの無線電力伝送効率を最大化する整合条件を導出した.さらに,マルチアンテナを用いた場合,アンテナ間の相対位置を変更すると,無線電力伝送効率がどのように変化するかについても,電磁界シミュレーションにより検討した. その結果,近傍界結合方式による無線電力伝送は,共鳴(共振)というコンセプトを利用せず,送受信アンテナ間の相互結合を考慮した送受信アンテナのインピーダンス整合をすれば,最大電力伝送効率を得ることができ,高効率の近傍界による無線電力伝送はアンテナと負荷インピーダンスとの共役整合を行うことが条件であることが分かった.これは,従来この分野において「共鳴方式」が条件とされてきた研究結果と異なり,近距離の無線電力伝送効率を引き出すためのシステムとアンテナの設計条件を示したものになる.また,数値シミュレーションの結果から,比較的長距離でも高い電力伝送効率を実現するためには,アンテナの導体損失を減らし,整合回路のQ 値を上げることが非常に重要であり,アンテナの最適なサイズは,伝送距離,アンテナの導体損失と整合回路の損失の程度から決められることが分かった. 一方,分担者と共同で,電源装置や人体などの電波散乱体をモデル化した大規模電磁界散乱問題に適応するモーメント法を開発した.高速な計算アルゴリズムの検討やGPUという多数の演算プロセッサーの処理が可能な計算機コーディングなどが行われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画では,本年度の目標は,無線電力伝送工学研究会システムを等価するS行列の抽出とそのための電磁界数値解析手法の確立である. 研究実績の概要で記載された実施状況から,計画の目標を達成していることがわかり,全体の研究進捗状況は概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策と計画は以下の通りである. 1.インピーダンス補正法の検討と無線電力伝送システム制御法の確立 従来の単素子アンテナ技術に対して,本研究ではマルチアンテナを使用する.そして,マルチアンテナの各素子に接続する整合制御回路を用いて,各素子に給電する位相と振幅を制御することにより,周辺の電波散乱体の影響やアンテナの位置変化によるインピーダンスの不整合を補正し,最大伝送効率を実現することができると考える.ここで,多素子アンテナの相互結合を補正するアルゴリズムの提案が最も重要で困難な課題である.そこで,過去に電波到来方向の推定法として提案したマルチアンテナの相互結合の補正技術を利用し,近傍電磁界の強い相互結合にも適用できるように発展する研究を行う. 2.本設計法に基づく無線電力伝送システムの試作実験 以上の検討結果に基づき,実環境において近傍電磁場の結合を利用した無線電力伝送システムを設計し,試作する.送受信アンテナの位置と姿勢を変化させたり,人体などの電波散乱体を導入したりして,電力の伝送効率を測定し,本システムの設計法の有効性と妥当性を確認する.ここでは,申請者と分担者全員がこの研究に参加する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。 次年度使用額は,成果発表や実験の実施などの経費として使用する予定である.
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Research Products
(5 results)