2013 Fiscal Year Research-status Report
無線通信回路規模を考慮した適応信号処理に関する研究
Project/Area Number |
25420376
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牟田 修 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80336065)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼本 大輔 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (90603332)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 無線通信 / MIMO / A/D変換器 / 適応信号処理 |
Research Abstract |
複数のアンテナ素子を有するMIMO(Multi-Input Multi-Output)無線通信では、基地局装置の小型・低消費電力化が重要となる。本研究では、MIMOシングルキャリア伝送を対象として、基地局装置の小型・低消費電力化のための適応信号処理技術を開発することを目的とする。 本年度は、MIMO空間分割多重伝送においてアンテナ素子送信ピーク出力を軽減する技術、MIMO受信機において受信回路規模を軽減する信号処理技術およびA/D変換回路構成法、RF回路を簡素化させた低消費電力の広帯域協調センシング技術について検討した。 MIMO空間多重伝送の基地局において、アンテナ素子当たりの出力電力ピーク値を抑える送信重み決定手法を開発した。通信品質の低下を抑えながら、アンテナ素子当たりの送信ピーク出力を規定値以下に抑圧できることを示した。また、提案方式において、伝搬路特性の時間変動がその通信品質に与える影響を評価するとともに、伝搬路変動への追従技術と併用する場合の有効性を示した。複数の中継局からなる双方向無線中継伝送において、消費電力の軽減に適した中継局選択および電力割り当て技術を提案し、その特性解析を行った。 低分解能A/D変換回路を用いるMIMOシングルキャリア方式の受信機において、A/D変換器の非線形歪みの影響を軽減する適応等化方式を開発し、量子化誤差存在下における伝送特性を改善できることを示した。また、ディザ信号およびメモリ効果を応用することで非線形歪みを軽減する1bit A/D変換器の構成法を示した。 RF回路のA/D変換部の回路規模を軽減するための圧縮センシングに基づくスペクトルセンシング技術を提案し、その基本特性を示した。また、複数ノードを用いる協調スペクトルセンシングに適用することでその特性を改善できることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題である基地局装置の小型・低消費電力化のための適応信号処理技術について、課題解決に有効な方式をいくつか示し、その基本特性を明らかにした。 また、小型低消費電力化に適したA/D変換部の回路構成を示した。A/D変換部の回路設計の詳細について今後発表予定である。RF回路を簡素化した広帯域スペクトルセンシング技術の開発に取り組み、その基本特性を明らかにした。 以上の成果を得ており、研究目標の達成に向けて順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後(2年目)は以下の方針で研究を推進する。 初年度の検討結果に基づき方式の改良を行い、有効性を評価する。また、1ビット量子化ADCの試作器の改良と最適化を行いながら、実験評価を行う。初年度に開発した広帯域スペクトルセンシング手法の検討と評価を継続する。得られた結果をまとめて、成果の発表を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の本研究課題に関する成果を平成26年度に国内外において発表するため。 本研究課題に関する調査研究および研究成果の国内外への発表のための、旅費、学会参加費、論文掲載費用などとして用いる。また、本研究課題に関する文献、計算機関係の消耗品などを購入する。次年度使用額は主に平成25年度の研究成果の発表のために用いる。
|