2014 Fiscal Year Research-status Report
感染症数理モデルを用いた無線LANマルチホップ放送型情報配送方式の最適設計
Project/Area Number |
25420379
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
榊原 勝己 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (10235137)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武次 潤平 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10405483)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 無線LAN / マルチホップ通信 / ブロードキャスト通信 / 感染症数理モデル / 情報到達率 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネットワーク上の全ての端末に同じ情報を送信する放送型情報配送方式は,無線LAN端末を用いたアドホックネットワーク等で使われている.一般的な放送型情報配送方式では,パケットを受信した全ての端末が通信可能な範囲へ中継転送を行う"フラッディング"と呼ばれる手法が用いられている.平成25年度では,感染症モデルに基づいて,確率的に転送を行う確率的フラッディングにおける情報の拡散率(メッセージ到達率)に関して前年度までに構築したモデルの精密化を行い,その精度を計算機シミュレーションにより評価した.特に,Gompertz関数を利用することにより,従前の指数関数を利用した場合よりも精度を向上させることが可能であることがわかった.しかしながら,端末密度と転送確率の積が小さい場合では,まだ十分な精度を得ることができないため,更なるモデルの改善が必要である.平成26年度では,MAC層プロトコルとして,無線LANあるいはセンサーネットワーク等において広く利用されているCSMA/CAによる影響(受信端末におけるパケット衝突によって,送受信端末間の距離が送信距離以下であっても正しく受信できないなど)を考慮できるように,平成25年度までに構築したモデルを拡張した.また,その精度を,平成25年度に本助成により購入したネットワークシミュレータQualNetを用いて検証した.端末密度と転送確率の積が2以上で有れば,不安定ながら一定の精度を得ることができた.しかしながら,精度に関しては必ずしも十分なものではなく,また,パケット長などのパラメータに対して安定的な結果を得ることができなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度では,MAC層プロトコルを考慮せず,送受信端末間の距離が送信距離以下であれば,正しくパケットを受信することができるという条件の下で,モデルの精度を評価し,端末密度と転送確率の積が2以上であれば,Gompertz関数を利用した基準距離の使用が最も精度の向上を得ることができることを明らかにした.平成26年度では,MAC層プロトコルとして,無線LANあるいはセンサーネットワーク等において広く利用されているCSMA/CAによる影響(受信端末におけるパケット衝突によって,送受信端末間の距離が送信距離以下であっても正しく受信できないなど)を考慮できるように,平成25年度に構築したモデルを拡張し,平成25年度に本助成により購入したネットワークシミュレータQualNetを用いて検証した.検証の結果,CSMA/CAを考慮しないモデルに対しても,パラメータを調整することにより,ホップ数対メッセージ到達率の関係を,ある程度の精度で表現できることを示した.しかしながら,ネットワークシミュレータQualNetの設定およびデータ収集に,想定以上の時間を費やしたため,当初に予定していた無線センサネットワーク評価キットを用いた評価を完了できていない点でやや遅れていると自己評価する.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究課題の目的であるメッセージ到達率を時間関数として表現できるように,構築したモデルの変換を行う.また,ネットワークシミュレータQualNetによる結果を利用して,CSMA/CAパラメータに対してモデルが有する精度の不安定さを緩和するような方策を考案する.また,無線センサネットワーク評価キットを用いた評価を行う.
|