2014 Fiscal Year Research-status Report
反射波遮蔽フェンスによるローカライザの積雪障害の抑制に関する研究
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25420380
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
中田 和一 青森大学, 薬学部, 教授 (00244898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 裕久 独立行政法人電子航法研究所, その他部局等, 研究員 (10392763)
二ッ森 俊一 独立行政法人電子航法研究所, その他部局等, 研究員 (20551211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ローカライザシステム / スケールモデル / 自動計測制御 / 物理光学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
スケールモデルでの実験システムを構築し、システムの評価と模擬積雪反射面の有無によるキャリア系およびサイドバンド系放射電界の変動と、遮蔽フェンスによる変動抑止効果について評価実験を行った。前年度、改修を行ったX帯5素子導波管アレイをモデルアンテナとした実験を当初行ったが、ディレクショナル系指向特性が広角度特性を持ち、サイドバンド系素子アンテナとの結合でリプル特性が出現するなど問題点が多く、あらためてコーナリフレクタ型4素子アレイアンテナを試作し、これをモデルアンテナとして用いて実験を行った。 実験は、塩化ビニル板(1.14×0.5 m)を模擬積雪面とし、横断方向で非対称に配置した場合に、配置側の、仰角3度方向での水平遠方電界強度が、異なる誘電体板の厚さ(5mmと10mm)において大きく上昇、あるいは下降する現象が見られ、誘電体表面での反射係数の急峻な位相変動の影響を受けることが明らかとなった。すなわち、現場フィールドで課題となっているアンテナ近傍の積雪面が遠方界に及ぼす影響が、モデル実験においても確認された。モデル実験の解析手法として、有限領域に存在する誘電体からの表面散乱波を物理光学近似法によって求めるプログラムを開発し、シミュレーションの結果、実験結果と概ね一致する類似の現象が確認された。また、衝立型の遮蔽フェンスを幾何学的反射点付近に設置し、誘電体の影響で変動した遠方界の修復の可能性について実験を行ったが、送信アンテナと同じ高さのフェンスでは顕著な効果を得られないことが確認された。遮蔽フェンスからの散乱波も物理光学法で解析するプログラムを追加したシミュレーションでは、誘電体層の厚さが一定値を超えると改善効果が期待できないことが判明したが、実験結果を裏付けるだけの精度が十分ではないため、解析方法の改良が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スケールモデル実験では、横断方向での模擬積雪表面の反射係数のアンバランスが、遠方界に影響する現象を確認し、任意領域にある誘電体反射波を扱えるプログラムを作成し、異なる積雪条件(積雪深、積雪領域面積)でのシミュレーションが可能となった。一方、衝立型の遮蔽フェンスでは十分な遮蔽効果が期待できないことが実験的に確認されたが、電子航法研究所の電波暗室の改修工事が平成27年1月-6月まで続くため、追加実験による実験データの収集が出来ない状況にあった。また、フェンス散乱界を考慮した物理光学近似法の精度が実験結果を裏付ける水準に達していないため、遮蔽フェンス構造についての具体的な検討と提案の作業が遅延している。遮蔽効果が見込まれるフェンス構造の提案に向け、シミュレーションと実験による考察が急がれる。
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Strategy for Future Research Activity |
積雪面とフェンスの複合散乱を扱え、かつ実験結果を裏付ける精度を持った電磁界解析プログラムへの改良を行う。また、これを用いたシミュレーションに基づくフェンス構造の解析および新しいフェンス機構の提案を行い、電波暗室の改修とともに撤去されたアンテナ移動架台に替わる、簡易型アンテナ移動装置を試作した上で、モデルフェンスの効果について検証実験を行う。
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Causes of Carryover |
電子航法研究所の実験施設の改修工事が平成27年1月~6月までかかることから、当該年度中に実施を予定していた実験日数が消化できなかった。また、施設の入れ替えに伴い、実験で利用していたアンテナ移動装置が撤去されたことから、今後の実験を進めるための新たな簡易装置を製作する必要に迫られており、更に、次年度、使用を予定している測定装置(ネットワークアナライザ)の故障に伴う修理費用を捻出する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定装置の修理費用ならびに簡易アンテナ移動架台の製作費用に使用する計画である。また、電子航法研究所の電波暗室で、改善された遮蔽フェンスの効果ついて検証実験を行うための旅費、ならびに電子情報通信学会への論文投稿費用として使用する予定である。
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