2013 Fiscal Year Research-status Report
誤り訂正符号を用いた過負荷MIMOシステムの低演算量信号分離法の研究
Project/Area Number |
25420382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
眞田 幸俊 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90293042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | OFDM / 過負荷MIMO / 誤り訂正符号 / 最尤復号 / トレリス符号化変調 / Hamming符号 / 反復符号 |
Research Abstract |
近年スマートフォンの急激な普及や動画配信の一般化により,移動体通信システムのトラフィック量は毎年指数関数的に増加している.今後10年間で500倍から1000倍に増加することが見込まれている.そこで本研究では受信側アンテナ数を1に制限し,複数のシンボルに渡って受信信号を観察することによって信号を分離する過負荷MIMO-OFDMシステムを検討する.提案方式では誤り訂正符号によって複数シンボル間に関連性を持たせ,誤り訂正復号器内のメモリの状態遷移の尤度を複数の信号ストリームに対して同時に計算する.この方式における問題は計算量が受信信号数に対して指数関数的に増加することである.そこで本研究ではこの問題を解決するために,過負荷MIMO-OFDMシステム用誤り訂正符号およびその復号法を検討する. 2013年度には誤り訂正符号としてトレリス符号化変調,Hamming符号,反復符号を用いて検討した. -計算量削減法としてトレリス符号化変調を用いたシステムではスフィア復号法を用い計算量を1/12に低減した.スフィア復号法を用いる場合には通信路行列がフルランクである必要があるため,仮想アンテナ法を用い,雑音の標準偏差を通信路行列に挿入した. -Hamming符号に対する計算量削減法として2段階復号法を提案した.この方式では各シンボルの信号点に対する尤度を計算し,それを符号語全体に合算することによって符号語候補を選択した.その結果計算量は1/100に低減した.そののち符号語全体の尤度を計算し,復号した.またHamming符号を用いたシステムをソフトウェア無線プラットフォーム上に実装た. -反復符号を用いたシステムではQRL‐MLD法を用いた.ただし計算量は1/32に低減した.QRL‐MLD法も通信路行列がフルランクである必要があるため,仮想アンテナ法を用い,雑音の標準偏差を通信路行列に挿入した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では2013年度は,過負荷MIMO-OFDMシステムの計算機シミュレーションモデルおよびソフトウェア無線プラットフォーム上で信号を処理する実験システムを構築することになっていた.計算機シミュレーションにより過負荷MIMOシステムの評価を行い,その後構築した信号分離・復調アルゴリズムを移植する.実験システムを用いた測定に関しては,各信号ストリームの間の相関,ビット誤り率特性およびパケット誤り率特性,各信号処理ブロックの計算量を測定できるようにプログラミングする.各信号ストリーム間の相関は信号分離・復号特性に影響を与えるだけでなく,分離の際に計算するメモリの状態遷移候補の削減量にも影響する. 実際には,過負荷MIMO-OFDMシステムの計算機シミュレーションモデルの構築,ソフトウェア無線プラットフォーム上で信号を処理する実験システムの構築の両方とも実現した.特に計算機シミュレーションでは複数の誤り訂正方式を検討した. 他方実験システムにおいてはストリーム間の相関と特性の関連,ビット誤り率の評価を実施した.各信号処理ブロックの計算量に関してはソフトウェア無線プラットフォーム側に対応するAPIが用意されておらず,机上検討のみの状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
構築した計算機モデルおよび実験システムを用いて提案する過負荷MIMOシステムの有効性を確認する.検討する内容としては,以下の4つが考えられる. -ブロック符号に外符号を組み合わせた場合の特性の検討を行う.外符号として畳み込み符号を用いる.この場合2013年度に検討した2段階復号方式では,符号語候補を削減することによって外符号の復号ができなくなる場合がある.そこでビットフリッピングなどのアルゴリズムによって外符号の符号語ために符号語候補を生成し復号する. -繰り返し復号を用いた場合の過負荷MIMOシステムの特性評価を行う.ターボ符号やLDPC符号を誤り訂正符号として用いた場合の過負荷MIMOシステムの特性を評価する. -反復符号を用いた過負荷MIMOシステムをソフトウェア無線プラットフォームに実装し,チャネル推定誤差,アナログ-ディジタル変換による量子化誤差,周波数オフセットなどの誤差要因に対する影響を評価する. -直接波が受信でき,受信信号レベルが高いが同時に符号語間の相関が高くダイバーシチが有効でない受信状況における特性評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
台風により飛行機が欠航し2013年9月16日出張旅費予定が9月17日早朝に日程が変更になったため宿泊費に差が生じた. 旅費500,000円,人件費300,000円,その他202,042円 として使用する予定.
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