2014 Fiscal Year Research-status Report
誤り訂正符号を用いた過負荷MIMOシステムの低演算量信号分離法の研究
Project/Area Number |
25420382
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
眞田 幸俊 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90293042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | OFDM / 過負荷MIMO / 誤り訂正符号 / 最尤復号 / 非直交多元接続 |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートフォンの普及などにより移動体通信のトラフィック量は毎年指数関数的に増加している.従来の移動通信では送受信機に複数のアンテナ素子を用いるMulti-Input Multi-Output(MIMO)-OFDM伝送方式により伝送速度の向上を目指してきた.しかし端末の物理的サイズの制約によりMIMO-OFDMによる伝送速度の向上には限界がある.そこで本研究では,誤り訂正符号を用いた過負荷MIMO-OFDM伝送方式を検討する.この方式は1受信アンテナで複数の信号を受信し,誤り訂正符号の特性を利用してそれらを分離する. 2014年度には誤り訂正符号とてして内符号にHamming符号,外符号に畳み込み符号を用いた場合の統合最尤復号の計算量削減法を検討した.内符号であるHamming符号に昨年検討した2段階復号法をそのまま適用すると,外符号の符号語候補が存在しない可能性がある.このような状況に対応するため,ビットフリップ法ならびに仮メトリック計算法を提案し,計算量の削減しながら特性劣化を抑えた.特に仮メトリック計算法を用いた場合,計算量を約1/1000に低減しながら特性劣化を0.5dBに抑えられることが明らかになった. また提案する2送信信号を1受信アンテナで受信するMIMO-OFDMを実験により評価し,提案方式が動作することを明らかにした.特に見通し伝搬環境をモデル化し屋内近距離において提案方式が動作することが明らかになった. 提案方式の応用例として第5世代移動通信システムの非直交多元接続方式が挙げられる.非直交多元接続では同じ周波数で複数の端末への信号を送信する.端末では複数の信号を復調し,希望信号を抽出する.これは1受信アンテナMIMOと同一の原理である.そこで提案方式を非直交多元接続システムに適応した場合のスループット特性も検討し,スループット特性が改善する可能性があることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究予定では1)前年度に構築した計算機モデルおよび実験システムを用いて提案する過負荷MIMOシステムの有効性を確認する2)メモリ状態遷移の尤度計算範囲の限定と逐次処理による低演算量信号分離方式を提案し評価する3)異なるチャネルモデルにおける提案過負荷MIMOシステムの特性を検討することになっていた. 1)の計算機モデルおよび実験システムによる提案方式の有効性の確認については当初予定通り実施した.2)の尤度計算範囲の限定による低演算量化については,仮メトリック計算法がより有効であることが明らかになったため,この方式を提案し特性を評価した.3)に関しては周波数選択性フェージングモデルのみならず,見通し伝搬環境をモデル化し,提案方式が有効に動作することを確認した. さらに提案方式の応用として第5世代移動通信システムの非直交多元接続方式への適用を検討し,その有効性を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
1受信アンテナMIMO-OFDMシステムの提案ならびにその有効性の計算機シミュレーションおよび有線実験に関しては,すでに当初目標を達したと考えている.今後の課題として以下の項目を検討する. -1受信アンテナMIMO-OFDMシステムの尤度計算法を非直交多元接続システムに適用した場合の誤り率特性の評価を行う.従来方式では干渉として処理するところを提案方式は重畳された信号を同時に復調することが可能である.そのため従来方式よりビット誤り率が改善する. -非直交多元接続システムに提案方式を適用した場合のシステム特性を評価する.直交多元接続システムに対してスループットおよびユーザフェアネスにおいて改善がみられることを確認する.
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Causes of Carryover |
論文原稿の英文校閲費用の見積もりが原稿ページ数に依存し,予定より短かったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費600,000円,謝金300,000,その他100,000円の予定.
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