2015 Fiscal Year Research-status Report
大規模集積回路の大域的求解法の開発とその実用化に関する研究
Project/Area Number |
25420384
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山村 清隆 中央大学, 理工学部, 教授 (30182603)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 非線形理論・回路 / 非線形数値解析 / 大規模集積回路 / 回路シミュレーション / 全解探索 / 数理計画法 / 線形計画法 / 整数計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1) 非線形回路の全ての解を求める効率的かつ実用的なアルゴリズムの開発、(2) 回路シミュレーション非収束問題に対する大域的求解法の開発、(3) 整数計画法を用いた非線形回路の変動解析法の開発、(4) 整数計画法を用いた非線形回路の全ての特性曲線を求める方法の開発、の四つのテーマに関して、「計算効率の改善」「実用性の向上」などの観点から総合的に研究を行った。またその成果を随時学会論文誌や国際会議等で発表した。具体的には、以下のような研究を行った。 (1) 線形計画法(双対単体法)を用いて解の非存在判定を行う新しい方法として「平行四辺形LPテスト」を開発し、この方法を用いた非線形回路の全解探索法を提案した。またこの方法により5,000素子クラスの非線形回路の全解探索に世界で初めて成功した。この研究を発表した本研究室の大学院生は権威ある学会賞を受賞した。 (2) これまで提案されたホモトピー法の長所短所を分析するとともに、新たに可変利得ニュートン不動点ホモトピー法を提案し、この方法が従来のホモトピー法の長所を兼ね備え、かつ欠点が解消された方法であることを示した。この研究を発表した本研究室の大学院生は同窓会賞を受賞した。 (3) 整数計画法を用いた非線形回路の変動解析法を開発した。この方法は実装容易性に優れ、混合整数計画問題に整数計画ソルバーを4回適用するだけで複雑な形状の変動領域を精密に求めることができる。 (4) 整数計画ソルバーCPLEXを用いた非線形回路の全ての特性曲線を求める方法を提案した。この方法は複雑なプログラミングを必要としないため実装が容易で、かつ非常に効率が良い。またこの方法により全ての特性曲線が得られることを、CPLEXで使われているアルゴリズムの原著論文とCPLEXのマニュアルから証明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・10年前まではNP困難という呪縛から絶対に解けないと考えられていた5,000素子クラスの非線形回路の全解探索に世界で初めて成功した。 ・本研究のもう一つの目的である実用性の向上に関して、整数計画ソルバーを用いた極めて実装容易性の高い方法を確立した。 ・国際的に権威のある論文誌や国際会議で多くの論文を発表した。 ・研究代表者の研究室の大学院生が電子情報通信学会回路とシステムワークショップで奨励賞を受賞することが決定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、研究代表者とその大学院生を中心に、学会や産業界との連携をとりながら研究を進める。研究テーマに関しては、線形計画法や整数計画法など他分野の手法を積極的に取り入れ、独創性の高いアプローチの研究を展開していく。また国内外の権威ある論文誌に積極的に論文を投稿する。
|
Research Products
(18 results)