2014 Fiscal Year Research-status Report
脳活動の近赤外分光計測データに対する経路長を考慮した実時間解析法の研究
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25420385
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
安達 雅春 東京電機大学, 工学部, 教授 (20312035)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NIRS / 脳機能計測 / 非線形時系列解析 / リカレンスプロット |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究課題では、近赤外分光装置(NIRS)により測定した脳活動データの高速識別手法の確立とリハビリテーションの補助のためのNIRSデータの解析結果表示システムの構築を行う。 平成26年度は、前年度に着手した非線形時系列解析手法の一種であるジョイント・リカレンス・プロット(以下JRPと表記)によるNIRSデータの解析を発展させ、グローバル・リカレンス・プロット(以下GRPと表記)を導入して、下記のような実験データの解析を行った。右利きの実験協力者について、右手の掌握運動およびその想像課題実行時のNIRSデータを測定し、そのデータについてJRPおよびGRPによる解析を行った。 その結果、掌握運動実行時には、多くの場合においてタスクの開始時がGRPによって検出可能であることが示された。一方、掌握運動の想像時には、タスクの開始時をGRPによって明確には検出できない結果が示された。これらのことより、GRPは運動実行のタスク・レスト識別には寄与できる可能性が示唆された。また、上記のリカレンス・プロットによる解析は、一般にNIRS測定データの解析上の問題点として挙げられる光路長影響も排除した解析法になっているため、上記の結果の信頼性は高いといえる。 平成26年度には上記の他に、Hungらによって提案された機械学習手法である Extreme Learning Machine を用いてNIRS時系列データの学習と予測も行った。予備的な数値実験の結果、従来の回帰型非線形サポートベクターマシンによる学習に比べて、高速に時系列の学習が可能で、予測精度も比較的良好なモデル構築の見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近赤外分光装置(NIRS)により測定した脳活動データの解析手法については、グローバル・リカレンス・プロットの適用により手の掌握運動の検出は高速に実行可能であることが示された一方、掌握運動の想像タスクについては検出が不十分という結果となっており、当初の計画に対してやや遅れていると言える。 一方で、NIRSデータの学習については、当初計画で使用を予定していた、回帰型非線形サポートベクターマシンに代えて Extreme Learning Machine を適用することにより、当初計画より高速かつ高性能の学習の目処が立ったため、当初の計画以上に進展していると言える。 上記より、全体としての達成度は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの成果で得られた光路長の影響を排除する前処理後のNIRSデータについて、タスク時とレスト時の識別を行う識別器を Extreme Learning Machine を用いて構築する。 次に、学習後の Extreme Learning Machine の出力層にカオスニューロンを導入することにより、未知データに対する非線形ダイナミクスを利用した高速な識別器を構成する。 またこれと平行して、グローバル・リカレンス・プロットを用いた解析結果を基に手の実運動時と運動想像時における脳活動領野間の有効的結合状態の準リアルタイム表示システムを構築する。
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Causes of Carryover |
当初計画で使用を予定していた、回帰型非線形サポートベクターマシンに代えて Extreme Learning Machine を適用するというモデルの変更を行ったため、このモデルを本格的に実装する計算サーバの仕様に変更が生じたため、年度中のこの計算サーバの購入は見送ることとなり、使用額に変動が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、予算使用が可能となり次第、上記計算サーバの購入手続きに着手する。また、国内外の学会への積極的な参加と論文投稿を行う予定である。
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Research Products
(5 results)