2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420403
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井町 智彦 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (60372489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 光紀 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (70422649)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レオメトリ実験 / 科学衛星 / 電界観測アンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主としてレオメトリ実験環境の無線化に取り組んだ.無線通信には赤外線を使用し、それをテレビリモコン等と同じ38kHzで変調して使用した.赤外線の変調には16ビットマイコンである dsPIC 30F3012 を使用した.電源にはリチウムイオン2次電池を使用し、これを DCDC コンバータに入力することで±5V の両電源を形成した.これらの電池・電源回路を含め、モデルアンテナのサイズは直径 30mm、高さ 30mm の円筒サイズに収めることに成功した.測定対象の周波数を10Hz~数kHz程度とし、モデルアンテナではサンプリング周波数を 100Hz、1kHz、10kHz の3種類に自動的に切り替えて受信するソフトウェアとした.これら作成したデバイスを用いて測定を試みたが、試行してみると水中における赤外線の減衰が予想外に大きく、通信を正常に行うためには水深がモデルアンテナ上面で 1cm 程度しか取れなかった.この状態では有線接続時の金属ケーブル長もごく短いものとなってしまい、実測においても無線化による優位性は見いだせなかった.今後の改良点として、無線通信を水中での透過性がよい可視光に切り替える予定である. この他、レオメトリ実験による測定対象として、現在開発中の地球電離圏探査衛星 ERG の 1/60 模型を作製した.衛星構体は外面をアルミニウム板で形成し、太陽電池パネル等の突起物を可能な限り正確に再現した.衛星構体内部には計装アンプを実装し、アンテナの出力電圧を高入力インピーダンスで差動検知できるようにしている.この模型を使用し、突起物等が電界観測に与える影響について研究を行う予定である. また電磁界シミュレーションソフトウェアを導入し、上記実験についてのシミュレーション解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レオメトリ実験の無線化については、ハードウェア、ソフトウェアともにほぼ完成した.もっとも懸念されたのは水中に配置するモデルの小型化であったが、電源まで含めて実験に十分使用できるサイズに収めることができた.また現実の衛星に適用可能な実験用モデルとして、ERG 衛星のモデルを作成した.コンピュータシミュレーションについては、シミュレーションソフトウェアを導入し、解析用モデルを作成し、実験結果と比較可能な環境が構築できた.
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Strategy for Future Research Activity |
レオメトリ実験の無線化については、光学デバイスを水中での透過性の高いものに換装して測定を行い、ケーブルの影響の解析する.実際の衛星に適用可能なモデルとして、作成した ERG 衛星のモデルを使用して実験を行い、太陽電池パネルやマスト等の突起物の、電界観測への影響を調査する.上記実験について、コンピュータシミュレーションで電界分布等を計算し、物理的な解析を行う.
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Causes of Carryover |
物品の調達が年度末までにおよび、見込額と実際の納入金額の差異を調整し切れなかったため、未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算と合算し、消耗費の調達等に充てたい.
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