2013 Fiscal Year Research-status Report
ALOS2によるマイクロ波リモートセンシングでの植生モニタリング技術の確立
Project/Area Number |
25420411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森山 敏文 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20452873)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ / 偏波 / 野菜 / モニタリング / インターフェロメトリー / PolInSAR |
Research Abstract |
平成25年度は,ALOS2の打上げが行われなかった.そのため,ALOS2のデータを使用した研究は実施できなかった.しかし,航空機搭載偏波合成開口レーダであるPi-SAR2(X-band)が10月に長崎県諫早市中央干拓地を観測してくれたため,これをALOS2観測のテストケースとして現地調査やALOS2を想定したデータ解析の検討を行った.現地調査では,ニンジン,レタス,キャベツ,トーモロコシ,大豆,ブロッコリー,ネギなど多彩な野菜が栽培されており,中央干拓地が実験の場所に適していることが確認できた.また,偏波解析では,エントロピー・アルファ法を用い,各野菜での値の変化を調べた.野菜の有無により,表面散乱,体積散乱などと特性の差は明瞭に観測れたが,各野菜間での大きなパラメータの違いは確認できなかった.これは,X-bandのデータを使用したため,野菜の表面のみの散乱データを評価したためと思われる.また,PolInSARのデータは得られなかったが,Pi-SAR2の主・従のアンテナの同時観測によるアロングトラックインターフェロメトリーのデータを用いた標高計算を行い,各野菜により高さが違うことを確認した.これは,タンデムフライトの衛星X-band合成開口レーダが有れば,野菜の成長を高さの変化で確認できることを意味している.L-bandのALOS2ではレーダの構成と周波数の特性により同様な結果を得ることは困難であるが,PolInSARによる散乱中心の高さの推定が非常に有用であることが解った.また,L-bandによるターゲット内部まで電波が透過する特性を利用して,より複雑な散乱情報を偏波で抽出することも重要な問題であることが解った.加えて,偏波解析法の研究を行い,学会で報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度にALOS2の打上げが行われなかったため,実際のデータを使用した解析は出来なかった.しかし,航空機搭載偏波合成開口レーダであるPi-SAR2が,ALOS2で想定した実験場所を10月に一度観測してくれたため,予備的に実際の観測作業や,同地域のデータをX-bandで解析できた.そのため,実際にALOS2が打ち上げられ,長崎を観測された場合の対応方法を確認できた.また,X-bandのデータで,アロングトラックインターフェロメトリーにより,野菜による高さの変化が確認できたため,航空機搭載レーダの有用性も知ることができた.加えて,偏波解析法の研究を行い,国際学会で2件の発表を行った.以上から,打ち上げの遅れによる実際の実験の計画は遅れているが,派生的な研究の結果も得られており,研究が進んでいると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
ALOS2も平成26年度5月末に打ち上げが決まり,実際の観測データを利用できるようになる.今後は,研究計画に沿った研究を行う.また,Radar-SAT2(C-band)との同期実験も行い,L-bandとの周波数や分解能による違い等を検討する.但し,研究計画でRadar-SAT2との同期実験を2回予定していたが,実際の配分額の減額もあり,1回目の結果を見て2回目を行うかを判断する.併せて,Pi-SAR2のデータとも比較を行う予定である.
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