2013 Fiscal Year Research-status Report
遅延積演算処理を応用した高距離分解能ブリルアンリフレクトメトリ
Project/Area Number |
25420418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀口 常雄 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70348902)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 計測工学 / スマートセンサ情報システム / リモートセンシング / 応用光学・量子光学 / 光ファイバセンサ / ブリルアン散乱 / 歪みセンサ / 温度センサ |
Research Abstract |
光ファイバにレーザー光を入射すると周波数がシフトした後方ブリルアン散乱光(BS)が発生する。このBSの周波数シフトは環境によって変化することが知られている。そこで、光ファイバにパルス光を入射したときに得られる、光ファイバからのBSの時間波形を、受信周波数を変えながら測定し、BSの周波数シフト量を時間の関数として求めることにより、光ファイバの長さ方向に沿ったひずみ/温度の分布を測定することが可能である。この測定手法をブリルアン時間領域リフレクトメトリ(BOTDR)と呼んでいる。BOTDRの応用分野を拡大するためにはその距離分解能を高める必要があるが、そのためにパルス幅を狭くし、受信帯域を拡大すると、信号強度の低下と雑音の増大が発生し、従来、その研究開発は困難を極めていた。本研究では、BOTDRの距離分解能を10cmないしcmオーダーに向上させるために、BOTDRでヘテロダイン受信した信号に対して遅延積演算処理を施すことを提案し、それによってBSの位相情報も利用可能とした高効率な受信性能を達成することを提案している。そこで、本研究の初年度である平成25年度は、1)ヘテロダイン受信が可能なBOTDRの実験系の構築と、2)それを使った遅延積演算処理によるBSの位相情報の検出に関して研究を進めた。その結果、1)については、パルス幅5ns(距離分解能50cm)のヘテロダイン受信BOTDRの実験系を構築した。また、2)については、構築した実験系において、位相シフト変調した光パルスを発生させ、その入射によって得られたBSのヘテロダイン受信信号に対して遅延積演算処理を施したところ、予想通り、極性が反転した信号が得られることを確認できた。以上から、位相シフト変調による符号化高距離分解能BOTDRの見通しを得ることができた。 平成25年度は研究立上げの年と位置付け、成果発表は平成26度以降に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2項目を計画通り達成したので、研究は順調に進展していると判断する。 1)ヘテロダイン受信BOTDRの実験系の構築とその動作の確認 2)上の1)の実験系を利用して、参照パルスと位相をπシフトさせたパルスを光ファイバに入射し、光ファイバからの後方ブリルアン散乱光をヘテロダイン検出し、その検出信号に対して、提案の遅延積演算処理を行ったところ、極性を反転させた信号波形が得られることを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究により、本研究の基本原理を確認することができたことから、平成26年度は、予定通り、位相シフト変調による符号化高距離分解能BOTDRを提案し、その性能を以下の3段階にわけて実証していく。 1)NRZ(Non-Return-to-Zero)パルスを位相符号化したBOTDR 2)RZ(Return-to-Zero)パルスを位相符号化したBOTDR 3)上の1)と2)の符号を入れ子構造とし、位相符号化したBOTDR なお、光ファイバにハイパワーかつ符号長の長いパルスを入射したときには、ブリルアン散乱以外の、ラマン散乱や自己位相変調などの非線形光学効果が顕著となり、それによる波形歪みが生じて、符号の復号特性が劣化することも予想される。そこで、パワーと符号長のトレードオフについても検討する。
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Research Products
(1 results)