2013 Fiscal Year Research-status Report
光の中から音情報を取り出す方法と光波マイクロホンの開発・技術統合体系化
Project/Area Number |
25420419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
園田 義人 東海大学, 産業工学部, 教授 (90117143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐松 崇史 東海大学, 基盤工学部, 教授 (60299667)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光マイクロホン / 可聴音 / 超音波 / レーザー応用計測 / 音計測 / 光音相互作用 / 光回折 |
Research Abstract |
本研究では、振動膜等の物体を一切用いず光で音を直接検出する方法、もしくは光の中から音情報を取り出す方法を提案し、それを実用化するための開発研究を行うことを目的としている。本年度の研究実績概要は以下の通りである。 (1)光共振器方式による高感度化の検討:光共振方式の音信号増幅は反射率の設定に大きく依存するが、90%以上の反射率採用により60dB程度以上の信号増大が可能であることを理論的に示した。音を検出するレーザビーム部にファブリーペロー形の光共振構造を組み込んで信号増幅の検証実験を行うのが理想的であるが、本年度は経費の都合により外部共振器構造を作成することができなかったため、外部ミラー型He-Neレーザの光共振構造部を利用して音信号の増幅効果を調べる実験を行った。その結果、20倍程度の信号増幅が容易に達成できることを示した。レーザ光源内部の共振構造を利用した実験であったため信号増幅率は小さいが、その性能の詳細(主に信号増幅率、感度、周波数特性、ダイナミックレンジ、等)の実測が今後必要である。 (2)信号情報処理によるSN比の改善: 音による光位相変調の結果生じる位相反転した2つの回折光を2個の光検出器で受光し、その差動による信号増大が2倍程度得られることを確認した。ただし、SN比の改善の検討は今後の課題として残った。同時に、それら2つの信号に独立成分分析法による信号処理を加えてSN比を改善する方法の検討に着手したが、試作した信号処理ソフトの性能が十分でなく、その改善作業を現在も継続中である。 (3)光ファイバセンサ形の検討: 音センサ部に光ファイバ(600nm バンド)を用いた方式の検討も行い、空中及び水中で音の測定が可能なことを明らかにした。さらにその性能(感度、周波数特性、ダイナミックレンジ、レーザ波長による検出特性違い)を体系的に明らかにする実験を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)光共振器方式による高感度化の検討: 光共振器方式による音信号の増幅については、理想的な外部共振器を用いた高感度化の実験は実施できなかったが、外部ミラー型He-Neレーザを利用した音信号の増幅効果を実証するとともに、その増幅率を実験的に明らかにできたので、共振器構造実験の初期目標にはおよそ到達できている。 (2)信号情報処理によるSN比の改善: 回折光の差動検出による信号倍増の実験までは出来たが、SN比の改善の確認と検討は今後の課題として残り、また、それら2つの信号に独立成分分析法による信号処理を加えてSN比を改善する方法については計画レベルまでは十分届かなかった。60%程度の到達度であった。 (3)光ファイバセンサ形の検討: 光ファイバ方式の音検出法の開発については、空中及び水中で音の測定が可能なことを明らかにできたが、光ファイバセンサ形の詳細な性能(感度、周波数特性、ダイナミックレンジ、レーザ波長による検出特性違い)を明らかにするところまでは到達できなかった。65%程度の到達度であった。
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Strategy for Future Research Activity |
<前年度の未解決部分の継続実験を実施する。>(1)光共振器方式による高感度化の検討:外部共振器方式を用いれば90%以上の反射率により60dB程度以上の信号増大が可能であることを理論的に示しており、理想的な外部共振器の製作は経費的に難しいが所有する光学系を駆使し、その許容範囲で共振器方式による音信号増幅を実験的に検証する。さらに、その性能の詳細(主に信号増幅率、感度、周波数特性、ダイナミックレンジ、等)を明らかにする。(2)信号情報処理によるSN比の改善: 2つの回折光信号に独立成分分析法による信号処理を加えてSN比を改善する信号処理ソフトを改善して完成させ、ノイズ低減効果などを実証する。(3)光ファイバセンサ形の検討:光ファイバセンサ形の性能(感度、周波数特性、ダイナミックレンジ、レーザ波長による検出特性違い)を体系的に明らかにする実験を継続する。 <開発済の要素技術の統合によるシステム完成(SN比改善・高機能化)>(1)要素技術の統合と高機能化システムの検討:円周上に並べた多チャンネル光ファイバを用いて音の進入方向毎の分離測定する技術に加え、対向するファイバ出力光を2台のオートバランス光レシーバに導き、さらに差動や相関等の情報処理をかけることでレーザノイズ及びその他のノイズを除去してSN比を改善した高品質の音再生出力を取り出す方法を開発する。(2)光ファイバ共振器の試作と超高感度化の検討:光ファイバ中にBG(ブラッグ回折格子)を2つ作成することで、ファイバ中に光共振部を設けることが可能である。レーザ波長633nmで間隔が数mm程度のFBG共振構造を作成し、これを用いて空気中(可聴帯及び超音波帯)及び水中(主に超音波帯)での音検出性能((主に信号増幅率、感度、周波数特性、ダイナミックレンジ、等)を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の使用にあたっては、高額な備品類と違い若干流動的で端数が出たりするところがあり、微弱な次年度持ち越し額(124,843円)が発生した。 次年度の消耗品費で使用する予定である。
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