2014 Fiscal Year Research-status Report
LED光の発光波長および発光パターンに対する海水魚の誘引・忌避行動解析
Project/Area Number |
25420424
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
伊丹 伸 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科機械コース, 講師 (60212982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科情報コース, 教授 (10259822)
小林 美緒 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科電気コース, 講師 (30462146)
守岡 佐保 徳島県立農林水産総合技術支援センター(試験研究部), その他部局等, 研究員 (40502240) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 魚類遊泳行動 / LED / 計測システム / カオス解析 / フラクタル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず最初にフルカラーLEDを用いてLED光刺激発生装置を完成させた。完成後、その装置を昨年度自作した海水魚用遊泳行動撮像システムの水槽中央部に配置し、水槽実験を行った。実験供試魚としてマアジ(魚群構成尾数:5尾)を用い、水深は30cmに設定した。実験期間中の海水温は18.7~26.5℃の範囲内であった。LED光刺激は点灯色(波長)が赤色(波長635nm)・緑色(波長525nm)・青色(波長470nm)・白色(三色混合)の4条件と消灯時における1条件、全部で5条件を与えた。点灯状態としては連続点灯、点滅(0.5,1,2,5,10,50Hz)、1/fゆらぎの各状態を設定した。実際の実験ではこれらの点灯色(波長)と点灯状態とを組み合わせて実験条件(実験試行回数は各条件とも3回)とし、マアジの遊泳行動をCCDカメラで2次元動画撮像した。その撮像データより遊泳軌跡を抽出した後、対LED間距離(マアジとLEDとの距離)を時系列データとしてカオス・フラクタル解析(3次元リターンマップ、リアプノフ指数、フラクタル次元)を用いて定量化を行った。 その結果、カオス・フラクタル的な遊泳行動をとっていること、群れ遊泳の方が単独遊泳に比べてフラクタル次元が小さくなることが明らかになった。また、外的因子(海水温、マアジの個体差、水槽寸法など)による実験結果への影響が大きいことも分かった。 光刺激に対する魚類の遊泳行動を定量化した報告例は少ないため、この研究の意義は大変大きいと思われる。 なお、これらの研究成果は平成26年度日本水産学会秋季大会、平成27年度日本水産学会春季大会、生体・感性及び高度情報処理シンポジウム2015において講演発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LED光刺激(連続点灯、点滅、1/fゆらぎ、発光波長を組み合わた条件)を与えたときのマアジの群れ(魚群構成尾数:5尾)行動の遊泳軌跡の抽出を行い、対LED間距離(マアジとLEDとの距離)を時系列データとしてカオス・フラクタルな特徴量(3次元リターンマップ、リアプノフ指数、フラクタル次元)を求めることができた。ただし、発光波長や発光条件の違いに対するカオス・フラクタルな特徴量に明確な差が表れず、数理モデルを構築することは現在のところできていない。 研究成果の学会発表は3回行うことができた。 以上のことより研究は当初の計画よりやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度まで実験時に使用していた徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究課美波庁舎の実験棟が平成26年9月に立て替えおよび耐震工事を行うことが決定し、平成27年度より工事のため2年間使用できない状況となった。そのため鳴門庁舎に相談したところ実験施設を借りて実験を継続させてもらえることになった。その結果、海水魚用遊泳行動撮像システムを鳴門庁舎へ移設させる必要がでてきた。装置の移設を平成27年6月末までに完了させ、7月より実験を再開する計画である。再開後の実験は、LED光刺激装置を水槽中心部より離して配置し、同様の実験を行い、行動解析を試みる。マアジの大きさに対する水槽サイズも再検討する。また、暗所状態から点灯状態にしたときの過渡的行動を撮像し、解析することも計画している。 一方、遠隔制御型LED集魚灯の試作も同時進行で開始する。
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Causes of Carryover |
海外での国際会議への参加を見送ったために繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マアジの魚群の遊泳軌跡の抽出を現在よりも短時間で効率よく実行するために、市販のソフトウェアの購入を現在計画している。そのソフトウェアはサイエンス・アイ株式会社から販売されている2次元動画移動計測ソフトウェア Image Tracker PTV ver.1で価格は約65万円である。今年度の繰越金で購入する予定である。 また、遠隔制御型LED集魚灯の試作にも取り組むため、その材料費および加工費に使用する。研究成果発表のための学会発表への旅費でも使用する。
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