2015 Fiscal Year Annual Research Report
LED光の発光波長および発光パターンに対する海水魚の誘引・忌避行動解析
Project/Area Number |
25420424
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
伊丹 伸 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (60212982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10259822)
小林 美緒 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30462146)
守岡 佐保 徳島県立農林水産総合技術支援センター(試験研究部), その他部局等, 研究員 (40502240) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 魚類の遊泳行動 / カオス / フラクタル / LED集魚灯 / リアプノフ指数 / フラクタル次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の実験結果(LED発光部を実験用水槽中央部に配置)より、LED発光部を中心として円形水槽壁面に沿ってマアジの群れが遊泳する行動がみられたが、それがLED光刺激に起因するものか、水槽壁面の影響によるものか区別することができなかった。そこで最終年度ではLED発光部を水槽中心部より25cm偏心させて設置(高さは水槽底部より15cm)し、昨年度と同様の遊泳行動実験を行った。 その結果、遊泳軌跡からは、LED発光部を中心に周回遊泳するような特徴的な軌跡は得られなかった。また、実験で得られた遊泳軌跡から時系列データとして遊泳速度、速度ベクトルの時間的変化角、対LED間距離、対LED角度の4つを算出し、それぞれカオス・フラクタル解析(リアプノフ指数、フラクタル次元)を行った。その結果、連続点灯時では赤色(波長635nm)点灯時にリアプノフ指数の値が小さく(ランダム性が弱く)なり、緑色(波長525nm)・青色(波長470nm)・白色(三色混合)点灯時には赤色点灯時に比べて、リアプノフ指数の値が大きく(ランダム性が強く)なる傾向がみられた。ただし、緑色、青色、白色間の明確な差異は確認できなかった。これらの結果は、マアジの眼の比視感度が影響していると考えられる。 以上のことにより、マアジに対して集魚灯を使用する場合は、緑色・青色・白色のうち最も消費電力の小さい波長で点灯させれば省エネにつながる考えられる。しかし、本研究の目的であったLED光に対する魚類の誘引・忌避行動を推定する数理モデルの構築までには至らなかった。 光刺激に対する魚類の遊泳行動を定量化した報告例は少ないため、この研究の意義は大変大きいと思われる。 今後は水槽サイズの再検討を行った後、LEDの発光強度を変化させた場合の実験やイカ類(アオリイカ、シリヤケイカ)に対して同様の実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)