2014 Fiscal Year Research-status Report
実用追従制御法に基づいた外乱とノイズに強い飛行船の最適制御系の設計と屋外飛行実験
Project/Area Number |
25420435
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 学 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40242903)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 制御工学 / 航空宇宙工学 / 飛行船 / 実用追従 / 4元数 / 最適制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、従来法の問題点を解決する実用的な飛行船の自動航行制御システムを開発し、屋外飛行実験により有用性を実証することである。この鍵となる制御法が「実用追従制御法」であり、追従誤差を零でなく、任意に与えられた値以下に保証することを目的とする。本研究代表者、この手法により制御対象の非線形性・非ホロノミック性を緩和できることに着目し、車両型ロボットなどの簡単な非線形系に応用した。さらに非線形系の制御問題をある簡単な線形系の制御問題に帰着させ、目標値追従を達成する低ゲインフィードバック補償器の設計に成功した。以上の背景の下、平成26年度は次の2点を明らかにした。 ・4元数に基づいた制御系の設計: 姿勢角に4元数表現を導入し、運動範囲を広げ、大域的な3次元目標軌跡に対して追従制御を達成する補償器を設計した。入力変換の工夫により、4元数に基づいた飛行体の非線形制御問題を、ある簡単な線形システムの安定化制御問題に帰着させ、設計を容易にした。同定実験により得られた小型飛行船の物理パラメータに基づいた数値シミュレーション実験を行い、有用性を確認した。 ・未知風外乱適応制御系の設計: 未知の風外乱をオンライン推定・抑制し、飛行船の揺れを軽減しながら、目標軌跡追従を達成する実用追従制御系を設計した。風外乱が時間変化する場合の揺れの最悪値解析や外乱の抑制速度を任意に指定できる手法なども提案した。同定実験により得られた小型飛行船の物理パラメータに基づいた数値シミュレーション実験を行い、有用性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は、①4元数に基づいた制御系の設計と②未知風外乱適応制御系の設計である。第一の目的である、「4元数に基づいた制御系の設計」については、交付申請書に記載の通り、まず、本研究代表者が提案した実用追従制御法を、従来のオイラー角ではなく、4元数に基づき記述された飛行体に拡張し、オイラー角表現での問題点であった運動範囲の制約を緩和し、大域的な3次元目標軌跡に対して追従制御を達成する補償器を設計した。そして、同定実験により得られた小型飛行船の物理パラメータに基づいた数値シミュレーション実験を行い、有用性を確認した。一方、第二の目的である、「未知風外乱適応制御系の設計」については、交付申請書に記載の通り、未知の風外乱をオンライン推定・抑制し、飛行船の揺れを軽減しながら、目標軌跡追従を達成する実用追従制御系を設計した。その後、風外乱が時間変化する場合の揺れの最悪値解析や外乱の抑制速度を任意に指定できる手法なども提案し、同定実験により得られた小型飛行船の物理パラメータに基づいた数値シミュレーション実験を行い、有用性を確認した。 以上の理由により、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度であるため、これまで得られた実用的な制御手法を小型の飛行体を用いた飛行実験により検証と評価を行い、理論と実機を同時に見直しながら研究を進めていく。また、平成25年度と26年度の研究中、「実用追従制御法」に関して、研究してみて初めて分かった知見がいくつかあった。その重要なものの一つが、飛行船の姿勢角の応答と目標軌跡の関係である。「実用追従制御法」では、追従偏差を任意に与えられた値以下に保証する新しい制御手法で、制御対象の非線形性・非ホロノミック性を緩和できる利点を持つ。しかし追従偏差は零ではないため、目標軌跡とフィードバックコントローラのパラメータの与え方により、飛行体の姿勢が振動的になりやすいという問題点をもつ。そのため、平成26年度では、その新たな研究課題についても研究し、目標軌跡の生成法として、「三角法」とよぶ新しい手法を提案できた。この手法は、現在の情報だけでなく、未来の情報も利用することで、姿勢の振動を軽減できる効果をもつ。 以上により、今後は実用性向上のため、この新たな研究課題と制御手法を含め、交付申請書に記載のスケジュールで研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
設備備品が予定より少し安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(19,997円)は飛行実験用の自律飛行船システム改造用の消耗品に使用予定である。
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Research Products
(10 results)