2013 Fiscal Year Research-status Report
実時間最適化制御システムのロバスト安定性解析・設計に対する包括的アプローチ
Project/Area Number |
25420440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 信敬 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フィードバック制御 / 実時間最適化 / ロバスト性解析 / ロバスト設計 |
Research Abstract |
近年,実時間での最適化演算を活用することにより,従来の線形時不変制御器では達成困難な性能を実現する様々な制御アルゴリズムが提案されている.これまでのところ,このクラスの制御器が用いられたシステムについては,実時間最適化演算が制御器内部で行われていることに起因する解析の見通しの悪さから,外乱や制御対象の不確かさに対してシステムのロバスト性を保証する制御器を設計することは一般に困難であった.本研究では,実時間最適化を活用する制御器に共通に現われる構造を抽出し,最適化演算が行われるモジュールの入出力特性を解析する.さらに,これらの結果に基づき,様々な実時間最適化制御器に適用可能な,包括的なロバスト制御器設計法を構築することを目的とする. 本年度は,次年度以降の一般的ロバスト性解析法構築の準備として,実時間最適化モジュールの入出力特性の解析を行った.その結果,実時間最適化モジュールは,セクター有界な非線形要素として扱うことが可能であることが明らかになった.さらに,この性質を活用し,具体例として,能動的耐故障制御システムのロバスト性解析・設計手法を構築した.この結果は,査読付き雑誌論文に掲載されている.さらに,この手法を,冗長アクチュエータを有する小型車両実験装置に適用し,アクチュエータ故障に対してロバストな制御システムを構築できることを実験的にも明らかにした.また,関連する研究成果として,実時間最適化に基づく新たな制御システムの構成法を考案した.この方法は,制御器の内部状態のリセットをサンプル時刻ごとに行うものであり,これにより,制御性能を格段に高めることが可能であることを数値例および実機実験により確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では,平成25年度中に,実時間最適化モジュールの,1)大域的入出力特性解析,2)局所的入出力特性解析,3)スロープ解析を行い,平成26年度中に,4)これに基づく制御システムのロバスト性解析・設計法を構築し,さらに,平成27年度中に,5)具体的な制御問題として車両の制御問題を取り上げその有効性を実験的に検証するとしていた.実際には,平成25年度中に,1)については順調に結果を得ることができた.これに基づき,2),3)に先行して5)の実機実験を一部行い,実験的にその有効性を確認できた.したがって,研究項目の順番を入れ替えてはいるが,研究全体としては,おおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの研究から,上記「現在までの達成度」記載の項目1)および5)の一部は完了した.今後は,残りの項目を進めていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,実験用機材を取得する費用を計上していた.その後,検討の結果,実験用機材の完成品を購入するよりも,モータ,センサ,マイコン等を部品レベルで購入した上で自作する方が,実験をより円滑に行えるとの結論に至った.特に,アクチュエータやセンサ増設の自由度,マイコンの処理能力等の点で,完成品は制約が大きいと判断した.そのため,完成品の購入を取りやめることにした. 平成25年度中旬以降,実験装置の設計,物品調達を開始している.平成26年度も引き続き,装置設計および物品調達を行い,実験装置の制作を行う予定である.
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