2013 Fiscal Year Research-status Report
瞬時リアプノフ指数指定による非線形システムの非安定化に関する研究
Project/Area Number |
25420445
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松尾 孝美 大分大学, 工学部, 教授 (90181700)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末光 治雄 大分大学, 工学部, 助教 (50162839)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 倒立振子 / ホモクリニック軌道 / Forwarding法 / Lyapunov指数 / 安定性 |
Research Abstract |
倒立振子の安定化は,非線形制御システムの安定化問題として有名な問題である.近年,エネルギー制御による振子の振り上げが盛んに研究されている.本研究では,摩擦がある場合にSpongらの部分線形化モデルを用いて,振子がホモクリニック軌道に達する倒立振子制御系を構成した.振子がホモクリニック軌道になることは,倒立点で一旦振子が静止し,さらに回転運動を続けることを意味している.このようなコントローラは,不安定な制御系を用いて振子の振り上げを可能にできることを示唆している.まず,振子部分システムに対して,提案したコントローラが,倒立点を含むホモクリニック軌道に漸近的に収束することを,負値をもつエネルギー関数の2乗値を用いたリアプノフ関数を用いて証明した.また,ホモクリニック軌道に収束した後は,摩擦のない自由振動系になることを示した.設計したコントローラは,古田ら,石飛らと同じエネルギー関数により導出されるが,制御則は異なっている.ついで,台車の安定性を保証するために,forwarding的な手法を導入した.台車部分システムに対して,1次安定システムの2乗をリアプノフ関数として定義することにより,安定化を達成した.さらに,全体の安定性を保証するために,振子系のリアプノフ関数に台車系のリアプノフ関数を追加することにより,振子と台車の相互干渉に対するフィードバック補償項を導出し,この補償項が振子のスウィングコントローラと台車の安定化コントローラの比率を重み付けする機能を持っていることを示した.また,瞬時リアプノフ指数による安定度判定の有効性を検証するために,心拍リズムの信号解析に応用し,SantosらのVdP振動子モデルから得られる各種疾患のシミュレーションデータから,瞬時リアプノフ関数による特徴抽出が可能であるか検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倒立振子の非安定化をホモクリニック軌道への追従問題として定式化し,リアプノフ関数を用いたコントローラを設計することができた.また,実験装置のセットアップを行い,実験を開始することができた.さらに,瞬時リアプノフ指数の実データにおける特徴抽出を行うことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,Forwading手法中の台車安定化法のオーバーシュートを小さくして,実験系への有効性を検証する.さらに,瞬時リアプノフ指数を用いた非線形フィードバック機構の設計法を定式化する.とくに,前年度に導出した瞬時リアプノフ指数の性質から,安定化,周期化,不安定化,カオス化など非線形特性を指定するための瞬時リアプノフ指数の希望値を導出する。次いで,瞬時リアプノフ指数が満足する一般的な非線形微分方程式を導出し,さらに,周期系である光合成系および倒立振子系の場合にどのようになるのかを特定する。また,倒立振子に近い振動系である生物系への応用を試みる.周期系である倒立振子系の瞬時リアプノフ指数の満たす微分方程式を実験データからシステム同定手法を用いて導出し,理論計算と比較・検証を行う。得られた結果は国内においては,計測自動制御学会制御部門マルチコンファレンス,SICE Annual Conference(北海道),国外においては,ICCAS2014(ソウル)にて発表を行う.
|
Research Products
(10 results)