2013 Fiscal Year Research-status Report
イデアルに基づくテイラー展開を利用したサンプル値制御系設計の新展開
Project/Area Number |
25420455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
十河 拓也 中部大学, 工学部, 准教授 (40273487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 制御理論 / グレーブナー基底 |
Research Abstract |
研究代表者は,不安定かつ閉じた式で表現できない扱いにくさをもつサンプル値系の零点をテイラー展開することで再配置に成功するなどの研究成果をあげてきたが,その過程で零点はもとよりサンプル値系伝達関数の係数そのもののテイラー展開が連続時間系の係数の簡単な多項式となり,さらに代数的な規則性(イデアル構造)があることに気付いた.イデアル構造の存在が正しければ,その多項式は数式処理ソフトウエアのグレーブナー基底計算機能を援用して効率的に得られることを意味する.本研究課題は,テイラー展開の多項式関係をソフトウエアを援用して明らかにするとともに,得られた多項式関係を利用したサンプル値系と連続時間系を密接に関連づけたモデル同定法およびそこから派生した制御系設計法を新たに開発することを目的としている.本年度は,サンプル値伝達関数の係数のテイラー展開係数がもとの連続時間系の伝達関数係数のイデアルに属しているという予想を踏まえ,具体的にテイラー展開係数を数式処理ソフトウエアを援用して記号計算してみた.その計算アルゴリズムの基盤となるグレーブナー基底は,変数に設定する項順序の組合せにより多数存在し,その選択によって必要な計算時間が大幅に異なるため,計算機資源とマンパワーを投入し項順序についての試行錯誤を行った.その結果,上記の予想の正しさは確信でき,「対称式は基本対称式の四則演算によって表現できる」という代数定理の証明を部分的に修正することで数学的にも証明することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル値系伝達関数の零点はもとより係数そのもののテイラー展開が連続時間系の係数の簡単な多項式となり,さらに代数的な規則性(イデアル構造)があることが予想されていたが,そのことを数学的に証明することができた.それによりテイラー展開の多項式は,数式処理ソフトウエアのグレーブナー基底計算機能を援用して効率的に得られることがあきらかになった.これらのことより研究目的をほぼ達成できているため上記の達成度と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル値系伝達関数におけるイデアル構造が明らかにできたため,これを基礎として研究計画どおりに研究を推進していく.つまりテイラー展開の多項式関係を数式処理ソフトウエアを援用して具体的に求め,得られた多項式関係を利用したサンプル値系と連続時間系を密接に関連づけたモデル同定法およびそこから派生した制御系設計法を新たに開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定物品の価格に少し変動が生じたため 500円未満のわずかの金額ではあるが、研究計画のために有効に利用する予定である。
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