2015 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリートのASR抑制対策およびASR劣化診断に関する研究
Project/Area Number |
25420460
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
黒田 保 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30263487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コンクリート / アルカリシリカ反応 / 膨張率 / 高炉スラグ微粉末 / フライアッシュ / ASR抑制 / 促進試験 / 力学的性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究では,(1)コンクリートの力学的性質に与えるASR膨張の影響,(2)コンクリートのASR膨張に与える温度履歴の影響,について検討した。 (1)の研究では,コンクリート円柱供試体を40℃の恒温室に湿封養生してASRを促進し,所定の膨張率(0.05%~0.5%)となった時点で各種力学的性質の試験を実施した。また,材齢28日においても同様の試験を実施した。本研究から得られた結果は次のとおりである。①本研究の範囲内では,ASR膨張による強度低下は認められなかった。これは,水和反応による強度増進の影響が一因と考えられた。②W/Cの小さい供試体ほどASR膨張による引張強度の低下が大きかった。③ASR膨張が大きくなるほど静弾性係数は低下した。また,膨張率が同じであれば,健全な供試体(材齢28日)とASR膨張を生じた供試体の静弾性係数の比は,W/Cにかかわらず同程度の値となった。④ポアソン比はASR膨張の影響を受けなかった。 (2)の研究では,コンクリート角柱供試体を一定温度(20,40,50,60,80℃)下で保存した場合,2種類の温度(20℃と60℃,40℃と60℃,40℃と80℃)を交互に与える環境下で保存した場合,屋外に暴露した場合のASR膨張挙動について検討し,次の結果を得た。①2種類の温度を交互に与えた供試体および屋外暴露した供試体の膨張開始時期を,一定温度で保存した供試体の試験結果を用いて予測できる可能性を示した。②屋外暴露した供試体の膨張率の経時変化を,一定温度で保存した供試体の試験結果を用いてある程度予測できる可能性のあることを示した。 平成25年度から27年度に実施した研究の結果は,ASRによるコンクリート構造物の劣化抑制対策およびASRにより劣化したコンクリート構造物の劣化診断や補修・補強を合理的に実施するために重要かつ意義のある結果であると考える。
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