2013 Fiscal Year Research-status Report
再生骨材とフライアッシュを組み合わせたコンクリート構造物のリサイクル技術の開発
Project/Area Number |
25420461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 始 富山県立大学, 工学部, 准教授 (10553133)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コンクリート / 土木材料 / リサイクル / 再生骨材 / フライアッシュ / 短繊維 / 力学性能 / 耐久性能 |
Research Abstract |
フライアッシュ(FA)を混和した再生骨材コンクリートを構造物のリサイクルに利用する手法の開発を目的に、3つの課題の解決に取り組んでいる。課題は①耐久性向上の確認、②力学性能の把握と構成則の確立、③構造設計手法の確立である。 ①耐久性向上の確認 :FAを混和した再生骨材コンクリートを用いて、塩分浸透試験(電気泳動法)、表面吸水量試験(土木研究所法)、アルカリシリカ反応(ASR)膨張率試験(デンマーク法)を実施した。試験にあたり原コンクリートを製作し、破砕後にふるい分けをすることで粒径5~25mmの再生粗骨材とした。実験は粗骨材を普通骨材と再生骨材の2種類、水結合材比W/Bを45%と55%の2水準、FA添加量を0、15、25%の3水準とした9ケースで実施した。 その結果、FAを添加した再生骨材コンクリートの塩分浸透性抵抗性は、材齢の経過とともに改善した。また、6時間吸水量と塩分の拡散係数の相関は一部のケースでのみ確認できた。再生骨材の膨張量は普通骨材の値に比べて大きかったが、FAを添加することで膨張量を抑えることができた。課題として、電気泳動法による塩分浸透試験の結果にばらつきが大きいこと、ASRの抑制効果の詳細分析が挙げられた。 ②力学性能の把握と構成則の確立 :課題①と同様の混和条件に加えて、短繊維を混入した供試体を用意し、3つの試験(圧縮破壊試験、曲げ試験、拘束ひび割れ試験)を行い、材料特性とひび割れ抵抗性の把握と材料構成則の確立を実施する項目である。圧縮破壊試験を実施し、FA混和による圧縮強度や破壊挙動の改善効果を明らかにした。また、切欠きを有するはりの曲げ試験を実施し、データ整理を行っている。 ③構造設計手法の確立 :課題②の材料構成則を導入した構造解析を実施し、混和条件による耐荷力や変形性能の違いを検討する項目であり、解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施項目①および②における実験項目は当初計画以上に進展している。しかし、実設計に適用するための精度向上には実験の追加が必要と考えており、「おおむね順調に進展している」と評価した。 ①耐久性向上の確認 :FA混和が塩分浸透抵抗性とASR膨張抑止性の改善に与える影響を検討した。塩分浸透抵抗性では、FA混和による傾向が十分に評価できていないため、別の手法での実験の追加が必要である。 ②力学性能の把握と構成則の確立 :25年度は圧縮破壊実験と切欠きを有するはりの曲げ試験を実施し、当初計画以上に進展している。いずれの検討も精度向上には実験の追加が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究(26年度)として、当初計画通りに3つの研究課題を行う予定である。 ①耐久性向上の確認 :塩分浸透抵抗性について、電気泳動法でばらつきが大きいことが課題であったため、浸漬法で追加試験を行う。ASR膨張抑止性について、25年度に各パラメータ1体で良好な結果が得られたため、影響要因を精査するためのパラメータを設定して追加試験を行う。 ②力学性能の把握と構成則の確立 :切欠きを有するはりの曲げ試験のデータ整理を実施し、引張軟化モデルを構築する。また、ひび割れ抵抗性および収縮特性の検討のために、拘束ひび割れ試験と乾燥収縮試験を行う。 ③構造設計手法の確立 :鉄筋コンクリートの試験体モデルや梁モデルの解析に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な次年度使用額(558千円)の理由は、本学保有のスイッチボックスに空きがあり、スイッチボックス(520千円)の購入を26年度に持ち越したためである。 26年度の主な使用計画は以下のとおりである。 ・ASR化学分析委託費用:300千円、・曲げ試験委託費用:400千円、・スイッチボックス520千円、・解析プログラム関連費用:500千円、・供試体作成費用(破砕含む):300千円
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