2013 Fiscal Year Research-status Report
廃棄碍子モルタルの塩分浸透抑制メカニズムの解明と強度特性の把握
Project/Area Number |
25420468
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
東山 浩士 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60319754)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 碍子モルタル / ゼータ電位分析 / 電位差滴定試験 / 塩分浸透抑制効果 |
Research Abstract |
電力や鉄道関連から廃棄されている絶縁材料である碍子の建設用材料への有効利用を目的に研究を実施してきた.平成25年度から3ヵ年にわたり,碍子モルタルの塩分浸透抑制メカニズムの解明と環境対応型碍子モルタルの開発を実施する計画である.平成25年度は碍子モルタルの塩分浸透抑制メカニズムの解明を主として,モルタル中の碍子骨材および比較用の川砂の物理化学的な塩分抑制効果を検討するためのゼータ電位分析およびそれらを使用したモルタルの5%NaCl溶液浸漬後の全塩分量と可溶性塩分量を定量的に評価するための電位差滴定試験を実施した. ゼータ電位分析の結果,セメントペースト中の細孔溶液を模した高濃度のアルカリ溶液(NaOH)中における碍子と川砂のゼータ電位はマイナスに帯電しており,塩化物イオンと反発する性質のあることが明らかとなったが,碍子と川砂のゼータ電位に優位な差は見られなかった.この結果からは,碍子モルタルの塩分浸透抑制が川砂モルタルのそれよりも優れているというこれまでの試験結果およびそのメカニズムを説明するに至ることができなかった. 次に,電位差滴定試験結果から,5%NaCl溶液浸漬後における碍子モルタルの全塩分量と可溶性塩分量は共に川砂モルタルよりも低いことが明らかとなった.しかし,全塩分量に対する可溶性塩分量の比は両者ともに同程度であったことから,碍子モルタルの塩分浸透抑制効果は化学的なメカニズムではなく,物理的なメカニズムによるところが大きいといえる.これを裏付ける結果として,碍子モルタルの細孔径分布が川砂モルタルのそれよりも小さいことにある. また,平成26年度および平成27年度に実施するセメントの一部を高炉スラグ微粉末で置換(0%,20%,40%)した環境対応型碍子モルタルの塩分濃度測定用試験体を作製し,5%NaCl溶液に浸漬しているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
碍子のゼータ電位が川砂のそれよりもマイナスに帯電しているという計画当初の想定とは異なった結果ではあったが,当初の計画通り,ゼータ電位分析および電位差滴定試験を実施し,モルタル中における碍子の塩分浸透抑制メカニズムが物理的なものであることを明らかにすることができた.よって,これらの結果は今後2ヵ年の研究に大いに役立つものであり,達成度としては,順調に進展していると評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究成果から,碍子モルタルの塩分浸透抑制効果が物理的なメカニズムであることが明らかとなったことから,平成26年度および平成27年度に計画している高炉スラグ微粉末によるセメント置換した環境対応型碍子モルタルでは,さらなる塩分抑制効果が期待できる.よって,当初の計画通りに今後の研究を推進していくこととする.
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