2015 Fiscal Year Research-status Report
静電容量を利用した表面含浸材による撥水層の非破壊性能評価手法の開発
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25420470
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
岩瀬 裕之 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20160111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
所 哲郎 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10155525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 表面含浸材 / シラン / 吸水性 / 透水性 / 耐凍結融解性能 / シリコーンゴム / 劣化診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
シラン系表面含浸材によって形成された撥水層の性能を,撥水層のみを対象として検討した.厚さ10mmのコンクリートに表面含浸材を塗布し全体を撥水層とした供試体を用いて,撥水層のみを対象として行った吸水,透水,凍結融解の各試験結果から以下の結果が得られた.1.表面含浸材により形成された撥水層では処理されていない非撥水のコンクリートに比べて,吸水性,透水性は低下し凍結融解抵抗性は向上しており各性能は改善された.2.供試体内の表面含浸材濃度を変化させても,吸水性,凍結融解抵抗性にはほとんど影響しなかった.3.普通配合と低品質配合の2種類の配合を比べると,吸水性,凍結融解抵抗性では配合による差は現れなかったが,透水性は普通配合に比べ低品質配合の供試体が水をよく通し,配合の影響が現れた.4.撥水層厚さを変化させた供試体での透水試験結果では,低品質配合で撥水層厚さが増大すると透水量は減少した.撥水層厚さを大きくすることは透水性の改善に貢献すると考えられる.5.一部に非撥水の部分が残っている供試体の凍結融解試験ではこの非撥水部分の劣化が供試体全体の破壊につながった.6.これを検証するため,撥水層と撥水層の間に非撥水層が存在する供試体の凍結融解試験を行った.その結果,撥水層にはひび割れが発生せず非撥水層にひび割れが発生した. 形成された撥水層自体は凍結融解抵抗性があるが,撥水層を通して水分が非撥水層へ浸透し,凍結融解抵抗性の低い非撥水層の劣化がおこり全体の劣化につながる可能性がある.普通配合に比べて水分を通しやすい低品質配合ではその可能性が高くなると考えられる. また,シリコーンゴムの撥水性を測定する水滴の接触角をコンクリートの撥水層に適用したところ,撥水層が厚いほど,水滴の接触角は大きくなり,時間依存性もよるその低下も緩やかであることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シラン系表面含浸材によって形成されたコンクリートの撥水層の評価は撥水層とその下の非撥水部分のコンクリートと合わせて評価されてきたが,撥水層部分のみの物性を評価することができ,撥水層厚さとコンクリートの物性が影響することが明らかとなった.撥水層厚さを非破壊で推定する方法を開発しており,この2つから表面含浸材の性能評価が可能であることを明らかにできた.
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Strategy for Future Research Activity |
シラン系表面含浸材を評価する場合,浸透して形成された撥水層とその下の非撥水のコンクリートを一体にして評価してきた.しかし非撥水の部分のコンクリートの性能が撥水層および非撥水部分を含めたコンクリ-全体の性能に大きく影響するため,表面含浸材の性能を正しく評価できていなかった.このため,表面含浸材の浸透性能(形成される撥水層厚さ),形成された撥水層の性能(透水性,耐凍結融解性能等),塗布前のコンクリート基盤の性能(強度などの物性,施工の影響,材齢)等の3つに分けて評価する必要があり,表面含浸材の浸透性能の非破壊による評価,形成された撥水層の性能評価を行うことができた.今後は適用する含浸材の種類や塗布するコンクリートの性能を変化させて適用できる範囲を探る必要があると考えられる.
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Causes of Carryover |
研究分担者の所教員が電気学会論文誌へ投稿した論文「受付番号(IEEJ ID) 15013708 撥水性計測を用いたシリコーンゴムとコンクリートの表面性能劣化診断技術の開発 所 哲郎 論文誌A Vol.136 No.9」が採択されたが,掲載料が平成28年9月頃に請求されるため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
掲載料の請求しだい使用する
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