2014 Fiscal Year Research-status Report
生体情報による横断歩道橋の振動使用性評価システムの開発
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25420475
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
原田 隆郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (00241745)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 横断歩道橋 / 振動使用性 / 生体脈波 / リアプノフ指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
横断歩道橋の振動使用性の検討においては、歩行者が歩道橋横断時に感じる“揺れによる不快感”が問題となっている。しかしながら、この影響を歩道橋横断者が直接評価する手法は確立していない。そこで本研究は、歩道橋利用者の生体情報を収集し、歩道橋の不快な揺れを利用者の生体情報から直接評価できる振動使用性評価手法を提案するものである。 研究2年目は、不快な揺れがあることを確認している歩道橋(固有振動数が1.95Hz)と、それほど不快な揺れを感じない歩道橋(固有振動数が2.832Hz)を選定して試験を実施した。様々な振動ケースによる歩行実験を行い、振動ケースごとの歩道橋の振動加速度を計測するとともに、被験者の歩行加速度を人体に取り付けた加速度センサによってセンシングした。そして、被験者の歩行中の生体脈波も同時計測した。その結果、歩道橋横断者が感じる不快な揺れが、生体脈波のカオス解析によって抽出されるリアプノフ指数によって評価可能であることが確認できたとともに、前年度の結果と同様に、リアプノフ指数を定常状態との変化率で評価することの優位性も再確認できた。 また、歩道橋の振動による揺れの特徴、歩道橋利用者の歩行に伴う振動特性、そして歩道橋利用者の生体脈波の3つの相関関係を分析し、人体へ影響を及ぼす生体情報と、歩道橋および歩道橋利用者の振動レベルとの関係性を把握した。2名の被験者の試験結果から、1)歩道橋と歩道橋利用者の振動加速度を、鉛直方向と水平方向の2次元で分析した結果、歩道橋利用者の共振歩行によって、歩道橋の桁が大きくかつ回転するように振動していること、2)鉛直方向と水平方向の2次元で捉えた桁の振動加速度が歩行者の重心の加速度に影響を与えている(歩道橋-被験者間の2次元振動加速度距離比)ことが把握でき、歩道橋利用者はこの比を不快感として捉えていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、歩道橋利用者の生体情報を収集し、歩道橋の不快な揺れを利用者の生体情報から直接評価できる振動使用性評価手法を提案することである。 研究2年目も供用中の歩道橋を対象に現場実証試験を実施し、歩道橋の振動、歩道橋利用者の歩行に伴う振動、そして歩道橋利用者の生体情報(脈波)による不快感の相関関係が把握でき、橋梁振動によって生じる人体への様々な影響を生体脈波から評価できることを確認している。 以上より、研究自体はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度は、これまでの結果を再確認するため、被験者数を増やして現場実証試験を継続する。そして、歩道橋の振動による揺れの特徴、歩道橋利用者の歩行に伴う振動特性、歩道橋利用者の生体脈波の3つの相関関係から、最終的に歩道橋を利用する場合の利用者の不快感の影響度を定量化することで、研究全体を取り纏める。
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Causes of Carryover |
研究2年目は、現場計測実験による実験補助とデータ整理に必要なアルバイト代が予定より支出増となった。このため、消耗品の購入を抑え、バランスを取ろうとしたが、逆に支出を抑えすぎたことにより、次年度使用額が生じた。ただし、必要消耗品は適切に購入されており、研究の実施に支障は無かった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究最終年度においても、研究方法としては引き続き現場計測実験の実施が中心となるので、これに伴う実験補助やアルバイト代の支出が増加すると考えられる。次年度使用額(残額分とあわせた金額)については、主にこの実験補助やアルバイト代で使用予定である。また、消耗品や旅費としても使用を予定している。
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