2015 Fiscal Year Annual Research Report
河川堤防の豪雨時における間隙空気の噴発発生メカニズム
Project/Area Number |
25420500
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神谷 浩二 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50252119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 周二 東北大学, 災害国際研究所, 准教授 (20447527)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 間隙空気 / 透気係数 / 透水係数 / 降雨量 / 不飽和土 |
Outline of Annual Research Achievements |
防災構造物である河川堤防では,豪雨時に降雨や河川からの浸水を受けたときに,堤防内部の間隙空気が封入され圧力発生し,更には,地表面からその空気が噴発する現象が指摘されている.このような現状において,本研究は,河川堤防の安全性向上に資することを目的に,間隙空気の封入や噴発現象の機構を究明するとともに,それに伴う堤防の弱体化への影響を考察したものである. 間隙空気の封入・圧力は特に降雨時の地表面の飽和度増加・透気性低下が原因するため,平成27年度は不飽和地盤の降雨浸透特性の解明に主眼を置き,不飽和な模型地盤を用いて人工降雨を浸水させる再現実験の実施によって地盤内の間隙水と間隙空気の挙動を分析した.実験では,土試料に2種類の砂質土と1種類のシルト質土を用い,また,ある一定の降雨量を連続させて模型地盤の上面に散水して,そのときの地盤内の飽和度,間隙水圧,間隙空気圧のそれぞれの経時変化を測定した.その結果,飽和透水係数が3×10(-5)(10の-5乗)m/sを有する砂質土では,降雨量が40mm/hrを超える条件のとき,間隙空気が地盤内に封入され5kPa程度の空気圧が発生することが得られた.その他の試料では間隙空気圧発生は確認されなかった.そして,空気圧発生によって降雨浸透が抑制され地表面に降雨の湛水が生じ,間隙空気の地表面からの排出が阻害されたため空気圧が更に増加する結果であった.従来,飽和透水係数の値よりも小さな降雨量に相当する場合には降雨は地表面に湛水せずにスムースに地盤浸透すると考えられているが,上記の砂質土では降雨量が飽和透水係数の3割程度の大きさに相当した.即ち,間隙空気圧の発生によって降雨浸透が抑制される現象が明らかになった. 一方,平成27年度は最終年度にあたり,間隙空気の噴発現象の機構とそれによる河川堤防の損傷や安全性への影響,噴発現象の対策工について総括した.
|