2013 Fiscal Year Research-status Report
地盤構造物系に対する遠心模型実験における拡張型相似則の適用性に関する研究
Project/Area Number |
25420502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飛田 哲男 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00346058)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遠心模型実験 / 地盤 / 相似則 / 杭基礎 / 飽和砂地盤 / 動的 |
Research Abstract |
乾燥および飽和水平成層地盤内に,杭下端と杭頭固定条件の杭を2x2に配置した構造物を設置した杭・地盤系を対象に一連の動的遠心模型実験を実施した.この実験を通じ,加速度,過剰間隙水圧,地盤強度,曲げモーメント等に関する拡張型相似則の適用性を検証した.拡張型相似則とは,遠心場における相似則と1g場における相似則とを組み合わせたものであり,これらの相似則を組み合わせ大縮尺の模型実験を可能にするものである.仮想1g場の変換係数(縮尺の逆数)をμ,遠心場の変換係数をηとしたとき,μ×ηを保ったまま,これらの組み合わせを変化させる.本研究では,模型縮尺が1/100となるようにμとηを選択し,ηg場で遠心模型実験を行い,実物換算値の同一性をもって拡張型相似則の検証を行った.乾燥砂を用いた実験では,相似係数の組み合わせを4パターン,飽和砂を用いた実験では同3パターン考慮した.当初の予定では,乾燥砂の傾斜地盤で実験するとしていたが,より基本的条件での相似則の適用性を検討するため,まず水平成層地盤で乾燥砂と飽和砂による実験を行うこととした.このため,地盤変位に関する相似則の適用性については,平成25年度の研究ではまだ示されておらず次年度の課題となっている. 本年度,得られた結論は以下の通りである.遠心加速度が4.9gから50gの範囲において,曲げモーメント,加速度,過剰間隙水圧に関する拡張型相似則の適用性が確認された.ただし,4.9gの場合には,杭頭が負の方向に変位する場合に,曲げモーメントの鉛直分布が他のケースと一致しない結果となった.その原因として,地盤の相対密度の違い,杭頭の加速度の違い,地盤のせん断剛性の違いに着目し検討した.その結果,拘束圧の小さい4.9gの場合,他のケースよりも地盤のせん断剛性が小さいことがわかった.これは拡張型相似則の限界を示すものであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡張型相似則について,遠心加速度が4.9gから50gの範囲において,曲げモーメント,加速度,過剰間隙水圧が原型換算値で一致することから,その適用性が確認できた.ただし,4.9gの場合には,曲げモーメントの鉛直分布が他のケースと一致せず,やや大きくなった.その原因として,地盤の相対密度の違い,杭頭加速度の違い,地盤のせん断剛性の違いに着目し検討した.その結果,拘束圧の小さい4.9gの場合,他のケースよりも地盤のせん断剛性が小さく,杭の変形が大きいことがわかった.これは拡張型相似則の限界を示すものであると考えられる.過年度実施した研究においても,5g程度の遠心場では,過剰間隙水圧の消散に時間を要する結果となっており,拡張型相似則を用いた実験を行う場合,拘束圧の影響を考慮して相似係数を補正するか,より大きな遠心加速度を用いるべきであると結論できる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初設備備品として導入予定であった「小型コーン貫入試験機」の導入が遅れているが,平成25年度は,水平成層地盤を対象としたので,地盤の不均質性は結果に大きな影響を与えないものと思われる.しかし,次年度傾斜地盤を対象とする際には,実験の再現性を確認するため同試験機を導入する. 次年度は,今年度と同様,模型縮尺100分の1の傾斜乾燥砂・飽和砂地盤中の杭基礎の挙動に対する拡張型相似則の検証を行う.さらに,同相似則の適用限界をより広い遠心場のレンジについて調べるため,模型縮尺を200分の1,または150分の1とした場合の挙動について,今年度の結果と比較する予定である.
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