2015 Fiscal Year Research-status Report
不飽和・不均一地盤における巨視的分散長の定量的評価方法に関する研究
Project/Area Number |
25420504
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
斎藤 雅彦 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40283915)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 移流分散解析 / フィンガー流 / 不飽和帯 / 巨視的分散長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,塩分・硝酸性窒素・重金属類等の水溶性物質による地表面を汚染源とする土壌・地下水汚染問題に対して,降雨浸透に伴う不均一地盤内の不飽和鉛直浸透過程に着目し,移流分散解析の際に必要となる巨視的分散長について,解析スケールや透水係数分布,あるいは不飽和浸透解析に用いられる各種パラメータの関係を明確にするとともに,これに基づいた不飽和帯における巨視的分散長の定量的評価方法を提案することを目的としている. 平成27年度は,前年度までに得られている室内実験の結果および数値シミュレーション結果を踏まえ,おもに不飽和帯におけるフィンガー流発生時の物質輸送問題について数値シミュレーションによる検討を行った.その結果,表層部とその下部の地盤の平均的な透水性が異なり,かつ下部の透水性が大きく,保水性が小さい場合には,とくにフィンガー流が形成されやすい透水性の比率が存在する可能性があること,フィンガー流の形状は,巨視的分散長に概ね定量的に反映されること,地表面からの浸透強度が大きくなると,飽和度が上昇し,飽和浸透流に近くなるため,フィンガー流は発生しにくくなることなどを明らかにした.これらの結果は前提条件としていくつかの仮定に基づいた上での検討であるが,全体的な傾向は従来の知見と矛盾するものではなく,また,数値シミュレーションにより,不飽和浸透に関わる様々な要因と物質輸送の関係について,より定量的な議論が可能であることを示した. これに加えて,前年度までに得られている研究結果を整理し,学術論文として学術雑誌に投稿するとともに,国際会議にて研究発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である不飽和帯内の移流分散現象について,フィンガー流のように従来の解析手法では再現が困難であった複雑な流れ場における物質輸送問題に取り組み,巨視的分散長と他の地盤物性値の関係についても定量的な議論が可能であることを明らかにすることができた.この結果は,研究計画の立案時に想定した結果を概ね実現したものである.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では,平成27年度中に完結の予定であり,研究成果も概ね当初の見込みどおりの成果が得られたが,一部研究成果の取りまとめが完了していない部分があり,これらの成果発表は平成28年度中に実施する予定である.
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Causes of Carryover |
研究課題の遂行にあたり,当社は他研究室の学生等による研究補助を想定し,これに伴う謝金の支払いを見込んでいたが,直接指導を担当する学生のみで研究成果が得られたため,その分の支払いが発生しなかったこと,また,研究旅費が当初予定を下回ったことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
得られた研究成果の公表等に伴う支出は,平成28年度にも見込まれるため,主として研究成果の公表(研究発表)の際に必要となる旅費,あるいは論文投稿時に必要となる著者負担金等に使用する計画である.
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