2014 Fiscal Year Research-status Report
地表面形状が表面波の分散曲線に及ぼす影響の評価と補正~地盤脆弱部の適切な把握へ~
Project/Area Number |
25420505
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
一井 康二 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70371771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 吉弥 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80463561)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面波探査 / せん断波速度 / 物理探査 / 地表面形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,盛土のように段差がある地盤のせん断波速度を合理的かつ精度良く把握するために,地表面形状に基づく表面波探査結果の評価について検討を行っている. 平成26年度は,動的FEM解析を用いて地表面形状の違いでのせん断波速度分布の違いについて検討した.解析結果から,盛土天端部で平行方向に測った場合,本解析条件では,解析上の影響による過大評価の程度と盛土形状の影響による過小評価の程度がほぼ同等であるため,両者がキャンセルアウトされることで実際のせん断波速度と同程度のせん断波速度を推定することが可能であることがわかった.また,表面波探査で得られるせん断波速度は,盛土に対して直交方向で測ると,盛土に対して平行方向で測るよりも大きく表れるということがわかった. これらの結果は,平成25年度に実際に盛土斜面において計測を行った結果と整合している.2地点の高さの異なる盛土で計測を実施したが,盛土に対して平行な測線と盛土に対して直交方向の測線では,直交方向の測線により得られたせん断波速度の方が大きくなる.これらの事例より盛土に対して直交方向で測ると,平行方向で測るよりも過大評価になる可能性があることがわかった. このような直交方向の測線での結果が過大評価となる要因として,受信点間隔の違いが影響していると考えられる.しかし,このメカニズムについて詳しく検討するためには,2次元片盛土モデルを使用した動的FEM解析が必要であると考えられ,今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測結果と解析結果が整合しており,概ね,現象は把握できていると考えられる.このため,補正係数の提案についても方向性は見えつつあると思われ,おおむね順調と判断した.しかし,現象のメカニズムの考察が不十分であり,この点が大きな課題として残っている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究では盛土と岸壁の2種類の構造物を対象としている.盛土については,今年度に3次元解析を実施し,実測と解析の整合性を確認できた.今後は,2次元片盛土を対象としたFEM解析を追加実施し,現象のメカニズムを踏まえた補正係数の提案につなげていく.岸壁については,平成25年度に実測および2次元解析をすでに実施し,整合性を確認している.今後は,3次元解析を実施していくと同時に,岸壁におけるせん断波速度のバラツキのメカニズムを検討しておくことが,解析結果と実測の比較において重要であると考えられ,不同沈下に起因する応力分布のばらつきに着目して,追加検討を行っていく.
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Causes of Carryover |
2014年度の経費予算の全額使用を見送った理由は、微動計測機器の故障である。その結果、予定していた踏査現場での計測を見送ったため、それに対応する経費(旅費など)が未消化となっている。故障した機器とは別機種の採用も考えられたが、故障の程度が比較的軽微で早期の復旧が予想できたあったこと、機種が異なってしまうと得られる計測結果の解釈が複雑になり一連の計測結果の連続性・一貫性に支障が生じてしまうこと、などを考慮して踏査現場での計測を回避した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由により昨年度(2014年度)に実施できなかった調査を、2015年度の早期(4月~5月)に実施する予定である。具体的には、故障していた計測機器の修理が終了したため(2015年3月末)、2015年4月・5月に予定していた踏査現場での常時微動計測を実施する予定である。そのための必要経費(旅費など)により、2014年度の未使用予算は、2015年度早々に、ほぼ全てが使用される予定・見通しである。
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