2014 Fiscal Year Research-status Report
河口-沿岸域の土砂ストックとフローのモニタリングシステムの構築
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25420516
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武若 聡 筑波大学, システム情報系, 教授 (80202167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡辺 拓巳 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50464160)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 河口地形 / モニタリング / Xバンドレーダ / 漁船測深システム / 河口テラス / 水深測定 / 漂砂 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築したXバンドレーダと漁船測深システムの組み合わせによる河口地形モニタリングシステムを運用し,河口地形と河川流量,波浪の作用の関係を継続的にモニタリングした.
(Xバンドレーダ観測)河口テラスの拡大縮小,河口砂州先端位置の変位と河川流量,波浪の関係を調べた.出水があると河口テラスが拡大し,その後,波浪の作用により河口テラスが縮小した.出水があると河口砂州が浸食され,河口砂州先端位置は後退する.その後,波浪の作用により河口砂州先端位置は浸食前の状況に戻る.これらのプロセスについて,河川流量,波浪エネルギーフラックスと一定の関連付けがなされた,
(漁船測深システム)平成26年度は,新たに2隻の遊漁船に対して測深システムを追加し,天竜川河口域の地形データ取得量の充実を図った.また,過去に取得された漁船ログによる河口テラスの形状と波浪・河川出水を整理し,台風や出水に対するテラス地形の応答の定量化を試みた.1 回の荒天によるテラス先端の侵食あるいは堆積の量を,波高や出水量のみで表現するのは困難であり,河道からイベントで供給される土砂量を応答に組み込む必要があると考えられる.さらに,漁船ログに静的同化手法を適用することで,時空間的に密な地形情報を取得するための解析手法の基礎的な検討を行った.水深の経時変化はサイクリックでないことが多く,時空間内挿のための1 次推定値をいかに求めるかが課題として明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Xバンドレーダと漁船測深システムの組み合わせた河口地形モニタリングシステムを安定的に運用している.平穏時の継続的なモニタリング,荒天時・出水時に生じる大規模な地形変動を追跡する体制は整っており,データの蓄積を進めた.過去に蓄積したデータの分析と収集しつつあるデータを組み合わせて分析し,河口地形変動の全体像を理解することが最終年度の課題になる.研究全体はおおよそ計画どおりに進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
漁船による測深システムを継続的に稼働するためのメンテナンス・装置の追加を実施しており,観測の継続については計画どおり実行できている.また,H26 年度に実施計画されていた土砂供給過程の統計的モデリングに関しては,高波浪・出水に関する諸量とテラス地形の変化を結びつけるよう検討し,課題を明らかにした.特に高波浪が連続するような場合は漁船ログが少なく,地形の応答が評価できないケースが多かったことからも,X バンドレーダーの情報と同期・補完する手法を構築する必要がある.また,河川の流動等に関する観測では,比較的規模の大きい出水イベントがなかったため,H27年度に備えて体制・計測手法を検討した.
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Causes of Carryover |
当初,大規模なイベント(高波浪,大出水)に備えて補助人員の確保を予定していたが,動員を要する規模のイベントが発生しなかった.このための費用(旅費,消耗品,人件費)が未使用額として生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H26年度の未使用額は,H27年度に生じる複数回の大規模イベントの追跡調査費用に充てる予定である.
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Research Products
(5 results)