2013 Fiscal Year Research-status Report
名古屋都市圏の多時点帰宅困難実態に基づく災害時帰宅交通予測モデルの開発と対策評価
Project/Area Number |
25420540
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 素弘 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90229013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ウイセットジンダ ウイスニー 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40534376)
坂本 淳 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (90548299)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 帰宅困難 / 交通情報 / 正確性 |
Research Abstract |
平成25年度は、まず、一宮豪雨災害と2011年台風時豪雨災害時の交通実態データを詳細に分析し、豪雨災害状況と交通情報提供および災害復旧速度等で変化する帰宅行動の基礎分析をおこなった。一宮豪雨災害においては雨量と帰宅交通判断との関係について分析した。2011年台風時豪雨災害時の帰宅困難状況については、帰宅者の属性と交通情報の取得の有無、入手時間、や鉄道の運休再開タイミングなど、さまざまな条件を考慮して、帰宅するかどうかの帰宅選択モデルや、帰宅した場合の帰宅所要時間(帰宅困難度モデル)を構築した。これにより、正しい交通情報を入手した人は間違った(更新の遅い)交通情報を入手した人よりも大きく帰宅困難度が下がることが分かり、交通情報の正確さが帰宅困難者の度合に大きく影響することがわかった。交通管理者側は災害時の正確で迅速な情報提供方法を改善していく必要があり、利用者側は特に災害発生直後の交通情報には不確実性が多く含まれることを理解した上で慎重な行動をとる必要があることが分かった。 また、自動車交通に関して、GISによる災害時道路混乱シミュレーションを開発し、これの精度が比較的良好であることを確認できた。道路交通に関しても災害発生時には激しい渋滞が生じて通常1時間程度の距離でも7時間以上かかるような状態が起きていることが再確認され、この激しい状況を一般市民に臨場感を感じて理解してもらえるようなビジュアルな表現方法について工夫して、精度の高い方法を検討する事ができた。さらに、災害時において、道路ネットワークの利用可能性についても、各道路区間ごとの被災確率を考慮したシミュレーションモデルを構築し、ネットワークの信頼性評価を行う基礎システムを開発することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
道路交通、公共交通について、情報提供と帰宅選択の関係モデルや基本的なシミュレーションモデルを開発できたため、おおよそ予定通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は下記のようになる。 1)人の情報感応度と災害復旧速度を考慮した豪雨下での帰宅行動選択モデルの構築: これまでの3時点におけるデータによる基礎的な分析結果を統合して、人の属性(帰宅時刻、平常時の帰宅所要時間、過去の豪雨体験内容など)や情報提供内容、および災害復旧速度(鉄道運休等が何時間くらいで復旧するか)によって、人が豪雨発生直後などで、すぐに帰宅するのか、しばらくとどまるのか、会社に泊まるか、どの交通手段を利用するかなどの行動選択を予測できるモデルを構築する。 2)災害下帰宅交通シミュレーションモデルの高度化と帰宅行動選択モデルの組込み: 災害下帰宅交通シミュレーションモデルの精度を上げるため、様々な工夫を行う。帰宅行動選択モデルをシミュレーションに組み込んで、精度を確保できるように調整を行う。 3)災害下帰宅交通予測・シミュレーションモデルによる、名古屋都市圏でのさまざまな災害条件における交通誘導対策の評価: 上記(2)で開発した、災害下帰宅交通モデルを用いて、さまざまな災害条件下における帰宅交通状況を再現する。これによって、今後おこりうる災害下における、交通情報提供や交通誘導を中心とする交通施策を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケートのデータ解析が主となりシミュレーションの構築の費用が少なくなるなどがあったが、今年度以降に纏めて利用するため。 シミュレーションデータの構築等において物品、謝金やその他費用として利用する。
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