2013 Fiscal Year Research-status Report
ユーザ中心設計に基づいた安全・快適な平面交差部の構造・運用制御に関する研究
Project/Area Number |
25420542
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 弘司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362320)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ユーザー中心設計 / 交差点 / 安全確認行動 |
Research Abstract |
本研究では,予算制約を踏まえて今後必要となる交差点整備を効率的に行うために,ユーザー中心設計(User Centered Design)の考えを取り入れて,利用者の負担軽減を可能とする交差点構造・制御方式を明らかにする.そのため,本年度は,信号交差点,ラウンドアバウトにおける利用者負担となる安全確認動作に着目した実証分析を行った. まず,信号交差点について,事故統計データにより,高齢者と非高齢者の自転車事故の発生要因の違いについて集計分析した.その結果,高齢者は昼間の事故の発生割合が高いこと,また,事故要因として安全確認行動が影響していることが明らかとなった.これらの結果を踏まえ,実際に自転車死亡事故の発生した名古屋市内2か所の交差点で昼間の時間帯に現地調査を実施し,道路利用者の交差点走行時の安全確認動作と利用者挙動,外的要因との関係性を分析した.その結果,走行速度,信号タイミング,走行動線,横断歩道の設置位置などが首振り安全確認の実施に関係があることがわかった. 次に,ラウンドアバウトについては,飯田市内の交差点での観測調査および走行調査を実施し,歩行者の安全確認動作ならびに運転者の安全確認動作に関するデータ収集分析を行った.その結果,運転者に関する安全確認行動では,信号交差点に比べて,安全確認回数や時間などが十分に確保されていること,また,安全確認後の急減速発生の可能性が減少していること等が明確となった.一方,横断者に関しては,交通安全施設としての路面標示シートの設置有無が安全確認動作へ与える影響があることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は実態調査,実態調査データに基づく実証分析を中心に計画していた. まず,外部観測に関する事項について,信号交差点,ラウンドアバウトともに調査を実施できた.モニターを募った歩行調査,走行調査については,20代男性についてのデータ取得を終えたが,高齢者や子どもといった幅広い年齢属性までのデータ取得には至らなかった.この点については次年度補完する予定である. 実証分析に関する事項について,運転者,自転車,歩行者といった利用主体別の安全確認行動を明らかにすることを試み,詳細なモデル化までは至っていないが,概ね順調に対応できている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,前年度取得したデータに関して,安全確認行動に関する統計モデルを構築する.このとき,高齢者や子ども等の属性が考慮できるようにするために補完調査を実施する. 次に,各交差点タイプについて,自動車×自動車,自動車×自転車,自動車×歩行者の交通錯綜パターン別に,ヒヤリハット等を含む潜在的な危険事象,影響要因としての道路構造,交通特性との関わりを分析する.このとき潜在的な危険事象として,既存研究で示される錯綜指標である,交錯する二者の通過時間差(PET)や衝突までの時間(TTC)などに着目し,顕在化した危険事象としての交通事故との関係性を検証できるようにするとともに,交差点タイプごと,GIS等で図面上に表現できるようにして,視覚的に理解しやすい出力を作成する. また,危険な交通錯綜の頻度については,上記指標の実データに対して,ガンベル分布や対数正規分布等の理論的な確率分布を仮定して,当てはまりの良さを検討するとともに,分布パラメータを最尤法により推定し,交差点構造,交通特性要因との関係についても明らかにする.これにより得られる危険事象発生頻度の精度については,観測対象交差点において,本手法により推定される潜在的な危険性と顕在化した事故発生との関係を分析することで確認する. さらに,属性別の安全確認動作に着目して,交差点での安全確認のしやすさといった利用者負担を計量するための新たな総合的な指標を考案し,各交差点タイプについて,潜在的な交通危険因子と現状の道路構造と利用者負担の関係性を表現できる統計モデルを構築する計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた交通実態調査のうち,高齢者や子どもを被験者とした歩行調査や走行調査が実施できず,次年度の実施に繰り越した.その結果として,調査実施ならびに映像解析の謝金等の費用が次年度使用額として発生した. 次年度使用額については,歩行調査および走行調査実施に伴って発生する機材レンタル費,謝金ならびに取得データの解析に対する学生謝金として,使用する.
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Research Products
(2 results)