2014 Fiscal Year Research-status Report
開発途上国における自然災害と貧富の格差,インフラと経済成長に関する研究
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25420545
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横松 宗太 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60335502)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害リスク / 防災投資 / 経済成長モデル / 不平等 / パキスタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,開発途上国を対象に,自然災害が貧富の格差を拡大させることを通じて,国や地域全体の経済成長の障害となることを理論的に示すことを試みる.そして交通基盤施設や防災施設の整備に,貧富の格差縮小を通じた経済成長効果があることを定性的・定量的に示すことを目的とする.また,ケーススタディをガーナ農村部とインドネシア・メラピ火山地域,パキスタンにおいて行う. 26年度はパキスタンのインダス川流域の水害リスク下の経済成長分析を行った.モデルでは災害が低所得層の家計の人的投資すなわち教育機会を阻害する問題に着目した.結果はIEEE-SMCに掲載された.また,国際総合防災学会等,3つの国際会議で口頭発表した.同時に,干ばつリスクを対象とした多地域多産業モデルの定式化とシミュレーションに着手した.そこでは農作物への被害と,その産業連関効果に着目している. また,ガーナ農村部のワ市にて1回の現地調査を行った.インタビュー調査とアンケート調査によって,25年度調査のサンプルを補足した. さらに,インドネシアを訪問し,火山噴火によって噴出した土砂の採掘現場を調査するとともに,ガジャマダ大学と地域政府の事務所にて打ち合わせを行い,土砂採掘の現状や土砂データの所在や利用可能性について問い合わせた.そして土砂ストック管理モデルの定式化を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2回を予定していたガーナ調査は,アフリカ西部で流行し始めたエボラ出血熱の感染リスクを回避するために1回に減らした.パキスタンのデータの利用可能性が拡がっているため,干ばつリスクも研究の対象に含めることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はガーナ農村部の分析を再開する予定である.またインドネシアに関しては,調査を通じて,土砂管理に関する法律や行政組織に関わる問題が明らかになってきた.そこで,地域経済成長シミュレーションと同時に,環境と災害リスクガバナンスの枠組みに関する研究を開始した.
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Causes of Carryover |
アフリカ西部でのエボラ出血熱の流行により,ガーナ渡航を1回取りやめたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アフリカのエボラの危険性が減少しなければ,パキスタンでの調査に充てる予定である.
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[Book] Knowledge, Innovation and Space (Ochi, S., Ueda, T., Yokomatsu, M.: Knowledge and Skill for Infrastructure technology and economic growth, Chapter 6, pp.139-159)2014
Author(s)
7.Karlsson C., Johansson, B., Kobayashi, K., Stough, R.R. (ed.)
Total Pages
304
Publisher
Edward Elgar