2015 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国における自然災害と貧富の格差,インフラと経済成長に関する研究
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25420545
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横松 宗太 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60335502)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然災害 / 開発途上国 / 経済成長 / 格差 / インフラストラクチャ / モビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はガーナ農村部を対象に,市場へのアクセシビリティと貧富の格差の関係を分析した.すなわち農民が自ら農作物を市場に運んで市場価格で売ることができないために,農村と市場をつなぐ商人が利益を吸収してしまう構造を定式化するとともに,アンケート調査によって収集したデータを用いて実証した.また,農村では災害時の対応や物資の輸送を協力して行うことがある.そこでコミュニティ活動への参加の実態を調査し,エスノグラフィーの手法を用いて分析した. また,インドネシアのメラピ火山地域における土砂採掘活動を,河道の復旧と土砂市場における収益の分配の双方の視点を考慮したモデルを用いて定性的分析を行うと同時に,収集したデータによるキャリブレーションを進めている. また,パキスタンで発生する干ばつ災害がもたらす経済的インパクトを,多地域多産業経済成長モデルを用いて分析した.農作物市場を通じて波及する間接的影響と,その蓄積による産業間・地域間格差の推移について明らかにするとともに,ダムのコントロールを通じた水資源の再配分政策や灌漑施設の改善など,インフラ整備の効果についても定量的に分析した. 3年間の課題を通じて,3か国を対象とした分析モデルの作成とデータの収集,キャリブレーションは概ね完了した.数値シミュレーションの部分的成果については国際会議等で口頭発表を行っている.各国の研究の最終結果を今年度中に論文にまとめて投稿する予定である.
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