2014 Fiscal Year Research-status Report
植物プランクトンの吸収係数に基づいた湖沼の基礎生産量推定手法の確立
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25420555
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松下 文経 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80361319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 武彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90124354)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高濁度湖沼 / 大気補正 / 生物光学モデル / 固有光学特性 / 有光層深度 / 吸収係数 / 後方散乱係数 / エアロゾルタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究結果は、霞ヶ浦のような高濁度水域に対して、新たな大気補正法の開発が必要であることを示唆している。また、手法の改良に当たるヒントも示した。そこで、本年度は、現存の大気補正アルゴリズムが適用できない高濁度水域を対象にし、新たな大気補正アルゴリズムを開発した。本研究は、高濁度という湖の特徴を生かし、従来の大気補正アルゴリズムにあるエアロゾルモデルの選定という難題を克服した。また、大気補正アルゴリズムに必要な生物光学モデルを利用する際に、従来の経験式の代わりに半理論式を取り込むことができ、新大気補正アルゴリズムの適応性を向上させた。この結果、従来の大気補正アルゴリズムと比べ精度が格段に高いことを示した。例えば、2つアジアの湖(日本の霞ヶ浦と中国の滇池)においては、従来の手法より良い大気補正ができ、相対誤差は21.8%以下であった。しかし、濁度の低い4つのアメリカ沿岸水域においては、大きな推定誤差が生じ(相対誤差84%~1391%)、N-GWIの限界を示した。 また、衛星画像から湖沼の基礎生産量を推定するために、我々の先行研究でまず衛星画像から湖水の固有光学特性(すなわち、水塊の吸収係数と後方散乱係数、特に植物プランクトンの吸収係数)を推定するアルゴリズム(QAA_Turbid)を開発した。そして、前年度は、QAA_Turbidに基づいて、湖水の消散係数を衛星画像からの推定手法を開発した。さらに、今年度は、湖沼基礎生産量を推定するためのもう一つ重要なパラメータである有光層深度(Euphotic Zone Depth)を衛星画像から推定するアルゴリズムを開発した。高濁度水域の霞ヶ浦においても十分な精度を得た(相対誤差8.01%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測器の故障で、調査の回数が計画より少なかったが、手法(アルゴリズム)の開発はかなり進んでおり、4つの新手法(高濁度水域の大気補正法、有光層深度の推定法、様々な光学特性をもつ湖沼のクロロフィルa濃度を推定するためのハイブリッド法、富栄養化レベルを推定する手法)を開発し、4本の国際論文をまとめ、5つの学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、霞ヶ浦など日本の湖沼において、現地調査を行い、データの蓄積を行う。そして、これまで開発した手法の検証及び改良を行う。さらに、これらの手法に基づいて、湖沼基礎生産量を衛星画像から推定する手法を確立する。最後に、これらの結果をまとめ、成果の公表を目指す。
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Causes of Carryover |
論文のカラーページ掲載料の請求が2015年3月末までに大学に来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以上の論文カラーページ掲載料として本年度(H27年度)に支払う予定。
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