2015 Fiscal Year Research-status Report
植物プランクトンの吸収係数に基づいた湖沼の基礎生産量推定手法の確立
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25420555
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松下 文経 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80361319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 武彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90124354)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 霞ヶ浦 / クロロフィル濃度 / 経年変動 / SAMO-LUT法 / 大気補正法N-GWI / 基礎生産量 / MERISデータ / 植物プランクトン吸収係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究により開発した新大気補正法(N-GWI)と我々の別の先行研究で開発した水質パラメータ推定法(SAMO-LUT)を併用することによって、215シーンのMERIS画像から霞ヶ浦における約8年間(2003年12月~2012年3月)のクロロフィルa濃度の推定を行った。推定したクロロフィルaの濃度を霞ヶ浦データベースによるクロロフィルa濃度の実測値と比較した結果、推定値と実測値が良く一致し、平均推定誤差(NMAE) は約24~34%であった。現地観測時と衛星画像撮影時のずれの差を3日以内から1日以内に変更する場合、NMAEの値は22~28%まで低下した。また、MERISデータから推定したクロロフィルa濃度は、植物プランクトンの時間・空間変化を再現することができ(相関係数0.59~0.78、p<0.001)、将来の水環境・水資源管理に活用される可能性を示唆した。 また、N-GWI法により補正したMERISデータと先行研究及び前年度で開発した湖水の吸収係数・後方散乱係数・植物プランクトン吸収係数・消散係数・有光層深度(Euphotic Zone Depth)などの推定アルゴリズムを組み合わせることによって、湖水の基礎生産量の推定を試みたが、大気補正できる波長帯は750nmまでで、アルゴリズムに必要な波長帯780nmまでより短いため、次年度の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り6回の現地調査を行った。また、前年度で現地データにより開発したアルゴリズムを実の衛星データに適用し、その有用性を示した。また、成果を3つの査読付き論文にまとめ、3つの学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した水質パラメータの推定アルゴリズムを、さらに新しい衛星データ(2015年6月23日にESAより打ち上げたSentine-2)にも適用し、アルゴリズムの頑健性を検証する予定である。また、これらの結果をまとめ、成果の公表を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究で開発した水質パラメータ推定アルゴリズムを、さらに新しい衛星データ(2015年6月23日にESAにより打ち上げたSentinel-2)にも適用し、アルゴリズムの頑健性を検証したい。このため、2016年4月以降も、Sentinel-2の通過日に合わせて、霞ヶ浦に対して、数回の現地調査を行う予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用予定額は、霞ヶ浦現地調査ための船の借り上げ費用などに充てる予定。
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